国内

ワクチン接種者と偽薬接種者の死亡率が同じ ファイザー公表データの意味

(写真/共同通信社)

ファイザー製ワクチン接種後の「死亡率」が波紋を呼んでいる(写真/共同通信社)

 ワクチン接種後の健康被害がやっと救済される──。厚生労働省の審査会は8月19日、新型コロナワクチンの接種後にアナフィラキシーなどの健康被害を訴えた29人に対し、医療費や医療手当の補償を決定した。29人のうち28人が女性で、平均年齢は43才だった。

 国が新型コロナワクチンの副反応の救済を認めるのは初めてだ。しかし、ワクチン接種後に亡くなった約1000人は、「ワクチンとの因果関係は不明」とされたままだ(8月24日現在)。

 また、日本に先んじてイスラエルやアメリカなどが「3回目接種」を行うなどワクチンをめぐる話題はいまだ尽きない。

 そんな中、製造元の1つである米ファイザー社が7月28日に公表した英語の研究論文が静かに波紋を広げている。

 その研究には世界各国の4万人以上が参加。ファイザー製ワクチンの2回目接種から最大6か月間に及ぶ大規模な追跡調査を行った。

 その結果、ワクチン接種によって発症を防げた人の割合を示す「有効率」は91%をマークした。通常のインフルエンザワクチンの有効率は30~50%程度とされるので、かなり高い効果があるといえる。

 だが多くの研究者が驚いたのは有効率ではなく、ワクチン接種後の「死亡率」だった。

 研究では、16才以上の参加者約4万人を「ワクチン接種群(約2万人)」と、正式なワクチンではない偽薬を与えた「プラセボ群(約2万人)」に分けて、接種後の安全性を確認する追跡調査も行った。

 その結果、管理期間中に死亡したのは、ワクチン接種群が15人、プラセボ群が14人だった。つまり、ワクチンを打っても打たなくても、死亡する確率はほとんど変わらなかったのだ。医療経済ジャーナリストの室井一辰さんがこの結果の衝撃度を語る。

「その研究はファイザーの研究者と、ワクチンを共同開発した独ビオンテック社の研究者が行ったもので、4万人を追跡調査する世界最大規模の研究です。これほどの規模の研究はほかにありません。

 意外な発見として注目されたポイントは、ワクチン接種群とプラセボ群の死亡率に差がなかったことです。実際に研究者の間ではこの結果が議論の的になっていて、“一体どういうことなんだ”と戸惑う専門家がいるほどです」

 複数回答による死因を見ると、ワクチン接種群はコロナによる肺炎で1人が死亡、プラセボ群はコロナそのもので2人が死亡した。コロナと直接関連する死者は合わせて3人で、ここでも接種群とプラセボ群に差がなかった。

 その他の死因では「心肺機能停止」「動脈硬化症」「多臓器不全症候群」「肺炎」などが見られた。これにおいても、接種群でもプラセボ群でも特段の偏りはなかった。

 接種によって感染は予防できていることは明らかになった。しかし、打っても打たなくても、亡くなる人の数(死亡率)が変わらないなら、接種する必要性が揺らぐ。それだけに、大きなインパクトを持つ研究結果だったといえる。

関連記事

トピックス

降谷健志の不倫離婚から1年半
《降谷健志の不倫離婚から1年半の現在》MEGUMIが「古谷姓」を名乗り続ける理由、「役者の仕事が無く悩んでいた時期に…」グラドルからブルーリボン女優への転身
NEWSポストセブン
警視庁がオンラインカジノ店から押収したパソコンなど(時事通信フォト)
《従業員や客ら12人現行犯逮捕》摘発された店舗型オンカジ かつての利用者が語った「店舗型であれば\\\\\\\\\\\\\\\"安心\\\\\\\\\\\\\\\"だと思った」理由とは?
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン
看護師不足が叫ばれている(イメージ)
深刻化する“若手医師の外科離れ”で加速する「医療崩壊」の現実 「がん手術が半年待ち」「今までは助かっていた命も助からなくなる」
NEWSポストセブン
(イメージ、GFdays/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」が見た恐怖事例》「1億5000万円を食い物に」地主の息子がガールズバーで盛られた「睡眠薬入りカクテル」
NEWSポストセブン
キール・スターマー首相に声を荒げたイーロン・マスク氏(時事通信フォト)
《英国で社会問題化》疑似恋愛で身体を支配、推定70人以上の男が虐待…少女への組織的性犯罪“グルーミング・ギャング”が野放しにされてきたワケ「人種間の緊張を避けたいと捜査に及び腰に」
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
【新宿タワマン殺人】和久井被告(52)「バイアグラと催涙スプレーを用意していた…」キャバクラ店経営の被害女性をメッタ刺しにした“悪質な復讐心”【求刑懲役17年】
NEWSポストセブン
女優・遠野なぎこの自宅マンションから身元不明の遺体が見つかってから1週間が経った(右・ブログより)
《上の部屋からロープが垂れ下がり…》遠野なぎこ、マンション住民が証言「近日中に特殊清掃が入る」遺体発見現場のポストは“パンパン”のまま 1週間経つも身元が発表されない理由
NEWSポストセブン
幼少の頃から、愛子さまにとって「世界平和」は身近で壮大な願い(2025年6月、沖縄県・那覇市。撮影/JMPA)
《愛子さまが11月にご訪問》ラオスでの日本人男性による児童買春について現地日本大使館が厳しく警告「日本警察は積極的な事件化に努めている」 
女性セブン