緊急事態宣言下の愛知県常滑市で8月28日、29日に開催された屋外音楽イベント「NAMIMONOGATARI」が、適切な新型コロナウイルス感染対策が徹底されず、「密」な状態で開催されたことで、批判の声が数多く噴出する事態になっている。
場内ではアルコール類が提供されており、観客が退去したあとには無数のゴミが散乱。8000人を超える来場者の多くがマスクを外し、「密」状態で大声を出しながら熱狂する様子がSNSで拡散されると、一気に批判の声が高まった。インスタグラムには、「#波物語」「#namimonogatari」というハッシュタグで、パーティに興じるファンの写真も数多く投稿されている。また、イベント終了後には、複数のクラブで“アフターパーティ”も行われていたようだ。
こうした状況を受けて、常滑市の市長はイベント主催者に向けて抗議文を送付。またイベントに出演していたアーティストのZeebra(ジブラ)は、30日にツイッターを更新し、「密」の状態が発生したことについて「危険な状態でした」と説明。「国民の皆さんに多大なご心配とご迷惑をお掛けした事、ヒップホップシーンを牽引する立場として責任を感じてます。誠に申し訳ありませんでした」と謝罪。そして同日、主催者も公式サイトを更新して、「多大なご迷惑、ご心配をおかけしてしまった事を深くお詫び申し上げます。申し訳ございませんでした」と謝罪した。
同イベントには、Zeebraのほか、般若、AK-69、Awich、BAD HOP、また今年4月に大麻所持の容疑で逮捕された舐達磨など、有名アーティストから新進気鋭の若手まで、日本のヒップホップ界を代表するメンバーたちが総出演していた。
こうした状況を、ヒップホップシーンのファンは「恥ずかしい」と感じているようだ。20代大学生・Aさん(男性)が語る。
「行きたくても我慢した身からすると、本当に『こんなことだから、ヒップホップがバカにされるんだよ』と悲しくなりました。10代、20代の若いアーティストが集まった小規模のイベントとかではなく、この業界を牽引してきたジブさん(Zeebra)たちがいたことが何より受け入れ難い。翌日に謝罪するなんてダサいことするなら、初めから開催すべきじゃなかったと思う。
ヒップホップは犯罪、大麻、タトゥーとか、そういった非行カルチャーと結び付けられがちです。実際に、歌詞にはそういったワードも多く出てくる。でも、それを作品の世界に留めておくからカッコイイのであって、社会に迷惑をかけることをカッコイイと思う発想自体がダサいと感じます」