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岸田文雄氏インタビュー「コロナと共存する未来をめざす必要がある」

岸田

インタビューに応じる岸田文雄・前政調会長

 自民党総裁選(9月17日告示、29日投開票)にいち早く出馬を表明した岸田文雄・前政調会長(64才)。現在、直面する新型コロナウイルスという大きな脅威に、岸田氏はとう立ち向かっていくのだろうか。岸田氏に話を聞いた。

 このコロナ禍で、世界有数の病床数を誇るはずの、日本の医療の脆弱さが明らかになった。岸田氏は医療提供体制の拡充などの対策を進めることで、「年内にコロナを抑え込みたい」と意気込む。

「日本は医療機関の7割が民間病院です。小さな病院にコロナ対応を迫っても実現が難しい面があります。ゆえに、国公立の医療機関を中心に、病床を拡大する必要がある。併せて、民間の開業医の協力を得た上で大型宿泊施設を借り上げて“野戦病院”をつくり、必要な医療を受けられない『医療難民』の発生を食い止めます。

 学校については、活動を維持する工夫が必要です。学校は、子供や地域にとって大切な存在なので、なるべく止めない方がいい。国が責任をもって医学的な助言をした上で、感染状況に応じて教育委員会単位できめ細かく休校や再開を判断すべきと考えます。

 そうした対策を進めつつ、ワクチン接種の加速と、自宅で対応ができる経口治療薬の開発で、年内にある程度までコロナを抑え込みたいです。

 感染症であり、変異を繰り返すコロナを完全にゼロにすることは難しいでしょう。私たちはコロナと共存する未来をめざす必要があります。来年からは、いつでもどこでも無料で受けられるPCR検査の拡充や、スマホと連携したワクチンパスポートを導入して、できるだけ多くの人が通常の生活に戻れるようにしたいです。

 また、変異のおそれがあるなかでどう社会経済活動を進めるべきか、物流、観光、教育など、各界の専門家が議論する有識者会議を設けます。現在の分科会は医療の専門家中心ですが、各分野のスペシャリストたちに参加してもらうことで、“新しい日常”の社会経済活動のあり方について議論してもらえばと思っています」

 ウィズコロナの近未来で岸田氏が危惧するのは、格差が広がって日本社会がバラバラになることだ。

「1990年代以降、競争や効率を重視する『新自由主義』が日本でも浸透し、格差が広がりました。富裕層が増えた一方、2018年には子供の7人に1人が貧困状況になり、『子ども食堂』が全国で話題になった。

 所得が低い家庭の子供は満足な教育が受けられない教育格差も生まれています。成長しても経済的に恵まれない。そしてまた子供の貧困が再生産される『負のスパイラル』です。コロナはこのスパイラルを加速させました。

 格差が広がると、社会が分断されます。実際に、民主主義の総本山といわれたアメリカでは、トランプ前大統領が分断をあおり、社会が不安定になりました。最後には、暴徒化した民衆がワシントンの連邦議会議事堂を破壊した。このまま格差を是正しなければ、日本でも似たような事態が起きかねないと危惧しています。私たちはこれまでと違う『新しい資本主義』をスタートさせる必要があります」

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