総裁選への出馬を表明した河野太郎行政改革担当相(写真/時事通信フォト)
総裁選では誰が出馬するのか、派閥の動きはどうなるのか。誰が誰を支持するのか。票を巡る駆け引きについて、連日のようにメディアが追いかけ、情報番組では政治評論家やコメンテーターが各々の見解や意見を披露する。出馬を表明した政治家情報は嫌でも目にするし、関心が無くても自然と耳に入ってくる。繰り返しメディアで取り上げられれば、人々の注意や関心はおのずと高まる。メディアの報道が選挙を左右するのは明らかだろう。
“次の首相に誰がふさわしいか”という緊急世論調査では、河野太郎行政改革担当相がトップ、次いで岸田文雄前政調会長となった。だが、今後の報道によってはどうなるか分からない。好意的な報道が流れるほど、「次期首相はこの人」というムードが作られ盛り上がる「利用可能性カスケード」という心理的な連鎖反応が起こるからだ。
メディアの報道如何によって、候補者に対するイメージや好感度、期待度は変わってくる。特に総裁選は通常の選挙のような公職選挙法が適用されず、報道に厳しい制約も無い。さらに、今回は前回のような簡易型の投票ではなく、党員投票も行われるため、それを報じる各メディアの姿勢や視聴率による影響も大きい。
自民党は総裁選を巡り、29日の投開票まで「公平・公正な報道」を新聞・通信各社に要請した。だが、自民党としての思惑もあるはずで、あからさまには出来ないものの、いかに利用可能性カスケードを上手く利用するのかが選挙の勝敗を左右するのも事実だろう。このバイアスを利用して国民にとってより、党にとって有利な方向に総裁選が進まないことを願うばかりだ。