ところが、どうも『めざまし8』の谷原さんはこれまでとは違うらしい。これまでのような“卒なく無難に”とは逆を行き、同番組での谷原さんの発言が、度々「プチ炎上」しているというのだ。
例えば、テニスの大坂なおみ選手が全仏オープンで記者会見を拒否した際、谷原さんは「記者会見で話していただきたい」とコメントし炎上。大坂選手がうつ病に悩まされていたことを告白し大会そのものを棄権すると、番組内で謝罪する事態となった。6月にも、よゐこの濱口優と南明奈夫妻の第1子が死産したことについて、「誤解を招くかもしれませんが」と前置きした上で、「自然の流れ」とコメントし批判が殺到した。
ジェシー・S・ニーレンバーグ著『「話し方」の心理学―必ず相手を聞く気にさせるテクニック』(日本経済新聞出版)には、「人は、正しい言葉を使えば自分の言いたいことがまちがいなく相手に伝わるという幻想を抱いている」と書かれている。SNSが普及し、炎上する度にネットでは「空気を読めない」、「思ったことをそのまま口に出す」と叩かれ、どんなコメントが正解だったのか、見えてこないことも多い。
忙しい朝は何かをしながら、番組を聞き流してしまう人も多くなる。そのうえ谷原さんの声は、聞き心地が良く邪魔にならない、すんなり耳に入ってくる声だ。そんな時、相手の頭を働かせるためには、「自分の考えを表に出し、それについて相手が考えるように刺激を与える」ことが必要だとニーレンバーグはいう。視聴者の注意を番組に向けてもらい、さまざまな問題意識を投げかけるには、感情や考えをストレートに発信するというMCとしての彼なりの意図もあったのかもしれない。それも番組を成立させるための一つの方法なのだろうか。