脂質異常症治療薬のスタチン系薬を服用中の50代女性には、かつて「併用禁忌」だった脂質異常症治療薬のフィブラート系薬が追加処方された。両剤の併用は筋肉痛や脱力感、急激な腎機能悪化を伴う「横紋筋融解症」の副作用リスクがある。
「横紋筋融解症とは骨格筋細胞の壊死、融解によって筋細胞成分が血液中に流出した状態です。急性腎不全を併発することが多く、最悪、命に関わる可能性があります。スタチン系とフィブラート系の併用は今は『併用注意』ですが、相互作用のリスクは変わりません。処方した医師は、脂質異常症の薬の知識が不足していたのでしょう」(一石医師)
「薬局ヒヤリ・ハット事例」からは医師の“危ない処方”を水際で食い止めた緊迫感が読み取れる。
※週刊ポスト2021年10月1日号