朝ご飯に和食よりもパンを好む家庭も多い。しかし、パンの原料である小麦を原因とする消化器系疾患のリスクを指摘する専門家もいる。さらに、「食べ合わせ」の観点から、パンを中心とした朝食に疑問を呈する専門家もいるのだ。
“腸活メソッド”で世界的に有名なフランク・ラポルト=アダムスキー氏の著書『腸がすべて』(東洋経済新報社刊)の監修者、澤田肝臓・消化器内科クリニックの澤田幸男院長が解説する。
「アダムスキー氏は25年かけて食材の摂取から排便までのスピードを測定し、胃から腸までの消化管を30分で通過するものを『ファスト』、胃で4~5時間、腸を通過するのに7~9時間かかるものを『スロー』に分類。そのどちらでもないものを『ニュートラル』とし、消化を助ける食材に位置づけました。
同じ分類のものを食べれば消化スピードが同じなので効率よく栄養を取り込むことができる。逆に『ファスト』と『スロー』を組み合わせて食べると、腸内に混合物が生まれて流れが悪くなり、自浄に必要な休憩時間を取れなくなって、食べ物が腐敗した有害な汚れがこびりつく。それが万病のもとになるという考え方です」
澤田氏によれば、消化の速い「ファスト」には、果物、ドライフルーツ、ハチミツ、ヨーグルト、トマト、レモン、緑茶、ジュースなどがあり、消化の遅い「スロー」にはパン、米、ジャガイモ、トウモロコシなどの穀類・野菜、肉、魚、チーズ、卵、豆腐などの動植物性タンパク質、ナッツ類などがあるという。
「パンを食べる時にジャムを使ったり、ジュースを一緒に飲んだりするのは『スロー』と『ファスト』の組み合わせになるのでNGです。ヨーグルトやハチミツもダメ。トマトをサンドイッチに挟んで食べるのもやめたほうがいい」(同前)
“朝はパン”という人は「スロー」と「ファスト」を組み合わせないというのはなかなか難しそうだ。