芸能

永島敏行が日本映画界に抱く危機感「底辺が上がらないと上も上がらない」

日本映画界の危機とは?

日本映画界の危機とは?

 映画史・時代劇研究家の春日太一氏による、週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』。今回は、俳優の永島敏行が、テレビシリーズ『新宿鮫』に出演して気づいた脇役の面白さと重要性、日本の映画界について感じている危機について語った言葉を紹介する。

 * * *
 一九九五年に始まったテレビシリーズ『新宿鮫』(NHK)で、永島敏行は舘ひろし扮する鮫島警部と対立する冷徹なエリート警察官僚を演じている。

「その前の失敗から学んだ役でした。『子象物語』という映画で子象を殺す憲兵役だったのですが、自分の中でなかなか非情になりきれなかった。血も涙もない男になりきって子象を殺さないといけないんですが、その演技ができなかった反省があったんです。

 それに対して『新宿鮫』は、感情をあまり表に出さないという、自分にあまりないものだったから楽しめるところがありました。舘さんの鮫島は既成のルールを破っていく役ですから、そこをどう立てるのかを考えましたね。そうなると、自分が嫌味で非情になればなるほど、鮫島が立っていくという。自分が鮫島に対抗する上でどの色を出せば、鮫島はどのように輝くか。それによって、自分もまた変わっていけるような気がしました。

 主役をやらせてもらっていたデビューの頃は、あまり考えなくても存在があれば、と言われてやっていたことが多かったと思います。ですが、それは脇の人が固めてくれたから、できたことなんですよね。

 脇は脇で楽しい。ドラマは対比が重要ですから。このドラマでここを輝かせるためには、自分の役割をどこに持っていけばいいか。それを考えるのが物凄く好きなんです。

 出番は多くないかもしれないけれど、自分の個性を出しながらも、僕のこのピースは何をすればいいのかな──を考えるのが物凄く好き。

 ですから、芝居をするのが物凄く好きなんです。全てのことが芝居に結びつきますから」

 父親が勝手にオーディションを申し込んだことから始まった役者人生も、五十年近くに積み重なった。映画界に活気があった時代をギリギリ知る世代でもある永島なだけに、現状には危惧を抱いている。

関連キーワード

関連記事

トピックス

『虎に翼』の公式Xより
ドラマ通が選ぶ「最高の弁護士ドラマ」ランキング 圧倒的1位は『リーガル・ハイ』、キャラクターの濃さも話の密度も圧倒的
女性セブン
羽生結弦のライバルであるチェンが衝撃論文
《羽生結弦の永遠のライバル》ネイサン・チェンが衝撃の卒業論文 題材は羽生と同じくフィギュアスケートでも視点は正反対
女性セブン
元乃木坂46の伊藤万理華の演技に注目が集まっている(公式HPより)
《難役が高評価》異例のNHK総合W出演、なぜ元乃木坂・伊藤万理華は重用されるのか 将来的には朝ドラ起用の可能性も
NEWSポストセブン
“くわまん”こと桑野信義さん
《大腸がん闘病の桑野信義》「なんでケツの穴を他人に診せなきゃいけないんだ!」戻れぬ3年前の後悔「もっと生きたい」
NEWSポストセブン
中村佳敬容疑者が寵愛していた元社員の秋元宙美(左)、佐武敬子(中央)。同じく社員の鍵井チエ(右)
100億円集金の裏で超エリート保険マンを「神」と崇めた女性幹部2人は「タワマンあてがわれた愛人」警視庁が無登録営業で逮捕 有名企業会長も落ちた「胸を露出し体をすり寄せ……」“夜の営業”手法
NEWSポストセブン
中森明菜
中森明菜、6年半の沈黙を破るファンイベントは「1公演7万8430円」 会場として有力視されるジャズクラブは近藤真彦と因縁
女性セブン
昨年9月にはマスクを外した素顔を公開
【恩讐を越えて…】KEIKO、裏切りを重ねた元夫・小室哲哉にラジオで突然の“ラブコール” globe再始動に膨らむ期待
女性セブン
食品偽装が告発された周富輝氏
『料理の鉄人』で名を馳せた中華料理店で10年以上にわたる食品偽装が発覚「蟹の玉子」には鶏卵を使い「うづらの挽肉」は豚肉を代用……元従業員が告発した調理場の実態
NEWSポストセブン
報道陣の問いかけには無言を貫いた水原被告(時事通信フォト)
《2021年に悪事が集中》水原一平「大谷翔平が大幅昇給したタイミングで“闇堕ち”」の新疑惑 エンゼルス入団当初から狙っていた「相棒のドル箱口座」
NEWSポストセブン
17歳差婚を発表した高橋(左、共同通信)と飯豊(右、本人instagramより)
《17歳差婚の決め手》高橋一生「浪費癖ある母親」「複雑な家庭環境」乗り越え惹かれた飯豊まりえの「自分軸の生き方」
NEWSポストセブン
大谷翔平の妻・真美子さんの役目とは
《大谷翔平の巨額通帳管理》重大任務が託されるのは真美子夫人か 日本人メジャーリーガーでは“妻が管理”のケースが多数
女性セブン
店を出て染谷と話し込む山崎
【映画『陰陽師0』打ち上げ】山崎賢人、染谷将太、奈緒らが西麻布の韓国料理店に集結 染谷の妻・菊地凛子も同席
女性セブン