ライフ

歯周病治療の誤解 「除菌さえすればOK」「1日で治ります」は本当か?

口腔内には約700種の「常在菌」が存在

口腔内には約700種の「常在菌」が存在

 日本人が歯を失う原因を調べた最新調査で、トップだったのが「歯周病」。全体の約4割を占めていた(8020推進財団調べ)。サイレントキラーの異名を持つ歯周病は、痛みなどの自覚症状がほとんどないまま進行する。そして気づいた時には、治療しても完治できないケースが多い。

 歯周病が手強い理由を、元東北大学臨床教授で弘岡歯科医院(スウェーデンデンタルセンター)院長の弘岡秀明氏に聞いた。

「歯周病の原因となるのは、バイオフィルム(デンタルプラーク)という細菌の膜です。これが歯と歯肉の境目や歯周ポケットに付着して、細菌の毒素が炎症を起こす。歯周病の初期段階である『歯肉炎』で適切な処置をすれば、完治させるのは難しくありません。しかし、進行して『歯周炎』になると、歯を支えている歯槽骨が吸収(消失)されてしまい、良くても現状維持、最悪は抜歯です」

 歯周病で歯を失わないためには、「歯肉炎」の段階で見つけて適切な治療を受ける、早期発見・早期治療が肝心なのだという。

 だが、近年はあやしい情報や治療法も氾濫する。そこで注意すべき「罠」を挙げておきたい。

口腔内の除菌で歯周病が治る?

 別掲の画像は、口腔内から採取した「細菌」を位相差顕微鏡で撮影したものだ。

 採取したばかりの「細菌」は、活発にうごめいている。自分の口にいる無数の「細菌」を初めて見た患者は、強い衝撃を受けるはずだ。筆者も、口腔内の細菌を見た時の驚きは、今でも忘れられない。

 一部のクリニックでは、口腔内の細菌を「除菌」する、独自の歯周病治療を宣伝している。特別な「除菌水」などを使うと、無数にいた口腔内の細菌が見事に激減してしまうのだ。

 大半の患者は位相差顕微鏡で、「除菌」の効果を目の当たりにすると、高額な治療費も惜しくないと思うらしい。だが、本当にそんな簡単に治るのだろうか?

「口腔内には約700種類の常在菌がいて、歯周病菌以外に良い菌もいます。『除菌』で細菌を一掃しても効果は短時間だけで、口腔内の細菌は元通りになるでしょう。つまり『除菌』だけで歯周病を治すのは無理です」(弘岡氏)

凄腕の歯医者なら1日で治せる?

 歯周病治療の広告を出しているクリニックの中には、たった1日で治せると宣伝しているところもある。軽度の歯周病治療が20万円台、重度は40万円台という強気の費用設定だ。患者は、高い治療技術を持った“名医”だから、治療費も高いのだろうと想像するかもしれない。

 だが、自由診療の場合は、経営者の歯科医が勝手に治療費を設定できるので、必ずしもスキルとの相関性はない。

関連記事

トピックス

“激太り”していた水原一平被告(AFLO/backgrid)
《またしても出頭延期》水原一平被告、気になる“妻の居場所”  昨年8月には“まさかのツーショット”も…「子どもを持ち、小さな式を挙げたい」吐露していた思い
NEWSポストセブン
露出を増やしつつある沢尻エリカ(時事通信フォト)
《過激な作品において魅力的な存在》沢尻エリカ、“半裸写真”公開で見えた映像作品復帰への道筋
週刊ポスト
初めて万博を視察された愛子さま(2025年5月9日、撮影/JMPA)
《万博ご視察ファッション》愛子さま、雅子さまの“万博コーデ”を思わせるブルーグレーのパンツスタイル
NEWSポストセブン
憔悴した様子の永野芽郁
《憔悴の近影》永野芽郁、頬がこけ、目元を腫らして…移動時には“厳戒態勢”「事務所車までダッシュ」【田中圭との不倫報道】
NEWSポストセブン
尹錫悦前大統領(左)の夫人・金建希氏に贈賄疑惑(時事通信フォト)
旧統一教会幹部が韓国前大統領夫人に“高級ダイヤ贈賄”疑惑 教会が推進するカンボジア事業への支援が目的か 注目される韓国政界と教会との蜜月
週刊ポスト
現行犯逮捕された戸田容疑者と、血痕が残っていた犯行直後の現場(左・時事通信社)
【東大前駅・無差別殺人未遂】「この辺りはみんなエリート。ご近所の親は大学教授、子供は旧帝大…」“教育虐待”訴える戸田佳孝容疑者(43)が育った“インテリ住宅街”
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
【エッセイ連載再開】元フジテレビアナ・渡邊渚さんが綴る近況「目に見えない恐怖と戦う日々」「夢と現実の区別がつかなくなる」
NEWSポストセブン
『続・続・最後から二番目の恋』が放送中
ドラマ『続・続・最後から二番目の恋』も大好評 いつまでのその言動に注目が集まる小泉今日子のカッコよさ
女性セブン
田中圭
《田中圭が永野芽郁を招き入れた“別宅”》奥さんや子どもに迷惑かけられない…深酒後は元タレント妻に配慮して自宅回避の“家庭事情”
NEWSポストセブン
ニセコアンヌプリは世界的なスキー場のある山としても知られている(時事通信フォト)
《じわじわ広がる中国バブル崩壊》建設費用踏み倒し、訪日観光客大量キャンセルに「泣くしかない」人たち「日本の話なんかどうでもいいと言われて唖然とした」
NEWSポストセブン
北海道札幌市にある建設会社「花井組」SNSでは社長が従業員に暴力を振るう動画が拡散されている(HPより、現在は削除済み)
《暴力動画拡散の花井組》 上半身裸で入れ墨を見せつけ、アウトロー漫画のLINEスタンプ…元従業員が明かした「ヤクザに強烈な憧れがある」 加害社長の素顔
NEWSポストセブン
趣里と父親である水谷豊
《趣里が結婚発表へ》父の水谷豊は“一切干渉しない”スタンス、愛情溢れる娘と設立した「新会社」の存在
NEWSポストセブン