『ROOKIES』1話で川藤が叫ぶ「夢にときめけ!」は、夢を持つことの大切さを訴えかける(イラスト/にゃむ子)
だが、人気漫画の実写化作品にもかかわらず、放送開始前の世間の期待値は、さほど高くなかったという。
「テレビ情報誌が出す“ドラマ期待度ランキング”でも10位くらいでした。
放送はTBSの土曜夜8時からで、この時間帯はかつて『8時だョ!全員集合』が放送されていた。老若男女が見てくれる枠として、どうにかして裏番組『めちゃ×2イケてるッ!』(フジテレビ系)に勝ちたいと思っていました。初回の視聴率は12.2%でしたが徐々に評判となり、最終回では19.5%に。途中、現場でも“世の中のブームになっているな”と肌で感じ、自分たちがストレートに伝えていることは間違いではないと感じました」(平川さん・以下同)
『ROOKIES』を制作する中で、平川さんの胸に深く突き刺さり、常に心の中にあったのは、次の言葉だ。
「『試練はそれを乗り越えることができるやつにしか訪れない』という、川藤幸一先生が野球部員の御子柴(みこしば)に言うセリフです。これと似た言葉が、ぼくの監督デビュー作『白夜行』(2006年・TBS系)に出てくる、『風と共に去りぬ』という本の中にもありました。『重荷は、それを背負える力のある肩にかかる』というものです。
それに、『ROOKIES』の後に演出を担当した『JIN -仁-』(2009年、2011年・TBS系)でも、『神は乗り越えられる試練しか与えない』という、脚本家の森下佳子さんの名ゼリフがありました。どんなにピンチでも必ず乗り越えられる。苦しいときは、これらの言葉を思い出しています」
学園ドラマには、ピンチがつきものだが、絶体絶命と思っても何度も立ち上がり、絶望の淵から這い上がる彼らの姿には心を打たれる。
「その根底にあるのは“夢”と“逆転劇”だ」と、平川さんは言う。
「『ROOKIES』では夢がキーワードでしたが、落ちこぼれのヤンキーたちが夢を持って甲子園を目指し、その夢をつかんでいく。『半沢直樹』(2013年、2020年・TBS系)でもそうですが、やはり人間は逆転劇が好きなのかもしれませんね」