岸田新政権がスタートした。国民・有権者にとっては、今回の党役員人事や閣僚人事よりも、国の行く末を左右する総選挙のほうがはるかに重大だ。10月31日に投開票が行われるが、じつは1回の総選挙に約600億円もの税金が投入されているのを知っているだろうか。気になるその使い道について、ジャーナリストの山田稔氏がレポートする。
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総務省が作成している「平成30年度行政事業レビューシート」に事業番号0027という書類がある。2017年(平成29年)に実施された衆議院議員選挙(総選挙)の経費の検証結果をまとめたものである。
それによると、予算額は631億8400万円で、実際に使われた執行額は596億7900万円となっている。1回の総選挙に約600億円の税金が投入されたのである。有権者一人当たり600円近くになる計算だ。
過去の執行額を調べてみると、第45回総選挙(2009年)598億4400万円、第46回総選挙(2012年)587億5300万円、第47回総選挙(2014年)561億4300万円と、毎回600億円近い経費がかかっている。
ちなみに今回予定されている第49回総選挙の予算額は678億円と、これまでよりかなり上積みされている。
「公職選挙法」で定められた税金投入の中身
では、600億円の税金はどんなことに使われたのか。レビューシートにはその流れの概要が記されている。総務省596億7900万円からの流れは次の通りだ。選挙公営費とは、おカネがかからない選挙の実施を目的に、公職選挙法で定められた税金投入のことである。
(1)衆院選及び国民審査の管理執行
【委託】都道府県/555億7300万円→【委託】市区町村/436億5800万円
(2)政見・経歴放送実施所要経費
【選挙公営費】各放送事業者等/7700万円
(3)選挙に関する新聞広告費
【選挙公営費】各新聞社/17億0800万円
(4)候補者用無料乗車券の発行
【選挙公営費】各交通事業者等/6100万円
(5)候補者用無料葉書の発行
【選挙公営費】日本郵便株式会社/17億4100万円
(6)啓発企画の実施、開票速報業務、新聞広告掲載等
【一般競争入札・随意契約】民間会社/4億9600万円
(7)委員等旅費、委員手当、諸謝金等
【委員手当等】委員等/800万円
選挙実施のために都道府県と、そこから市区町村に流れているおカネが大半であることが分かる。