外部有識者から「検証が必要」との指摘も
資金の流れをもう少し先まで見ていこう。
(1)の都道府県向けの上位は、東京都61億8700万円、神奈川県31億3900万円、大阪府29億3300万円などと続く。
最大の交付先である東京都の使途は、市区町村への交付額45億2900万円が最も多く、次に新聞広告・政見放送・ポスター作成等公営費が12億6800万円となっている。都レベルでも新聞広告や政見放送に経費が使われているのだ。
(2)の放送局向けは、日本放送協会(NHK)が6700万円と圧倒的で、業務概要は政党の政見放送の収録及び放送(委託)となっている。
(3)の新聞社は上位4社が1億円以上。読売新聞社の6億1200万円がトップで、朝日新聞社3億1200万円、中日新聞社1億7300万円、北海道新聞社1億100万円と続き、毎日新聞社は7300万円で5番目だ。上位の5社は過去4回の総選挙で、額は異なるものの順位はまったく同じである。
この点について、総務省自治行政局選挙部管理課に確認したところ、省からの割り当てではなく、各政党や候補者が実際に広告を依頼した結果の積み上げだという。政党や候補者の読売への依存度が高いということか。
(4)の交通事業者は、日本バス協会が3000万円で最も多く、JR東日本800万円、JR西日本500万円と続く。
(5)の交付先は日本郵便だけである。
(6)の民間会社は10社表示されている。最大は、啓発総合企画の実施で広告代理店のオリコムに2億6800万円となっている。これは一般入札ではなく随意契約だ。そのため、レビューシートには外部有識者の所見として次のような記載があった。
〈啓発企画への支出の目的が不明確。3億円近くが随意契約となっているが、この具体的な目標、成果、そしてその因果はどうなっているのか、検証が必要〉
ちなみに、啓発総合企画の事業は、第47回は電通(1億8200万円)、第46回は日本経済社(1億4500万円)、第45回は博報堂(3億7900万円)と企業は毎回異なっているが、第46回以降はいずれも随意契約である(第45回は記載なし)。
これについては、一般競争入札の形を取らず、随意契約となっているの時間の制約があるからとのこと。毎回、受注企業が異なっているのは、省内での検討の結果だという。
以上が「経費600億円」の使途の大まかな流れである。