(写真:小倉雄一郎)

「担当編集の人に騙くらかされて(笑)」(写真:小倉雄一郎)

 ではなぜ、彼はエッセイを書き続けているのだろうか。

「自分の本を出したいという強い気持ちがあったわけではないです。なんか、担当編集の人に騙くらかされて(笑)。ずっと物書きになりきれないまま書いている感じですね。ちょっと客観視して、『エッセイストとしての自分に酔って書いてんじゃね?』って恥ずかしい思いを抱きながら書いてます。

 基本的には活字を読むのも書くのもそんなに好きじゃないんですよ。ほとんど本も読まなくて、読み物といえばウィキペディアぐらい(笑)。“相対性理論”のページとか好きですよ。ちょうど良い情報量で留めてあって、普通の人が読むぶんには簡潔で分かりやすい。もちろん理論を学ぶとなると話は別ですけど。文章が好きなわけじゃなくて、情報が好きなだけなのかもしれないですね。

 ただ一つ言うと、今回の本にはラジオ(『ハライチのターン!』)で話したエピソードが結構入ってるんですよ。あのラジオでは毎週15分ぐらいエピソードトークをしているんですけど、思いつきでダラダラ喋っているんじゃなくて、毎回ちゃんと構成を組み立てているんですね。要はめっちゃ考えて作ってる。それを毎週垂れ流して消えていくだけだともったいないなと思って、本にすることで保存できるのはいいなと思いました」

 さらに、エッセイを執筆することによって、お笑い芸人としての活動だけでは得られないスキルを磨くことにもなったという。

「普通に生活していたら、他人の気を惹くようなエピソードなんてほとんどないじゃないですか。だからこそ、自分を客観視して毎日の生活を注意深く観察するようになる。それを思い返して面白いエピソードとしてまとめ上げる。それは漫才のネタを書いていただけでは身につかないようなスキルではありました」

 エッセイを書くきっかけは担当編集だったのかもしれないが、書くことで得られた手応えは大きいようだ。

◆取材・文/細田成嗣(HEW)

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