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ハライチ岩井勇気「物書きになりきれないまま書いている」

2冊目となる著書には書き下ろし小説が収録されている(写真:小倉雄一郎)

2冊目となる著書には書き下ろし小説が収録されている(写真:小倉雄一郎)

 お笑いコンビ・ハライチの岩井勇気(35)が、2冊目となる単著『どうやら僕の日常生活はまちがっている』(新潮社)を9月28日に上梓した。「普段は全く活字を読まない」と公言する彼は、なぜ文章を書き続け、そして新たな書籍として世に出したのか。本人が語った。

『どうやら僕の日常生活はまちがっている』は、月刊誌『小説新潮』と本の総合情報サイト『Book Bang(ブックバン)』での連載を中心に、一部書き下ろしを加えたエッセイ集。書き下ろしでは初の小説にも挑戦するなど、書き手としての岩井の新たな側面も窺える一冊だ。

 2019年に刊行された前著『僕の人生には事件が起きない』(新潮社)は、累計10万部を突破するベストセラーとして話題を呼んだ。新刊も発売前から予約が殺到し、すでに増刷が決定。エッセイの内容としてはどちらも、日常の出来事を淡々とした筆致で、時にクスリと読者を笑わせるようなユーモアも交えながら描いていく。

 新刊の「はじめに」では、歯に衣着せぬ物言いでいわゆる“タレント本”への違和感も吐露。〈自分には文才があるんだ! などと勘違いした芸能人風情が、小説などを書きメディアに取り上げられ、蓋を開ければ最初しか話題になっていないのに本人は作家を気取っている痛々しい例を何度も見たことがある〉と辛口で綴っている。

 どうやら世の中には“ニセモノ”が蔓延っているらしい。その違和感の内実について、本人はこのように明かす。

「芸能人が小説を書いて、まあまあ話題になることがあるじゃないですか。けれど蓋を開けてみたら買っているのはファンしかいない。にもかかわらず、ファンが多いから何十万部も売れたことになっている。それは別に小説が評価されているとか、そういう話ではないですよね。

 芸人だと、小説にしてもエッセイにしても、本にして出すより喋った方が面白いよなって思うことがたまにあります。本職の小説家やエッセイストの方が絶対に面白くないですか? 例えばちょっとテレビに出てる芸人のエッセイが10万部売れたとして、世間的に無名の新人作家の本が同じ部数売れていたら、明らかに後者の方が『本が面白いから売れた』と言えますよね。

 又吉(直樹)さんレベルになると、本当に小説を書くのが上手いんだろうなとは思います。けれどニセモノは多いんじゃないですか? 芸能人が小説家ぶって本を出して売れたところで、知名度で売れているだけだし。なんで本が売れているのかをよく考えたら分かりますよ。ホンモノなんてほんの一握り、耳かき一杯ぶんぐらいしかいないと思います。あとは怪しい」

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