カンナビノイド審査委員会の認証マークをチェックしよう
適法・安全なCBDは日本に1つだけ
引地さんは、本当に適法のCBDを輸入しており、品質にも自信のある業者は、CBD精製の工程ごとの濃度分析表や、禁止部位を100%排除していることがわかる写真を取り寄せて、ホームページなどでも公開していると話す。実は、日本のカンナビノイド審査委員会の審査を通過した原料会社はいまのところ、米オレゴンバイタリティ社の1社のみ。日本総代理店の広報担当者が言う。
「安全なCBDは、THCの含有量が0.3%以下の産業用大麻から抽出します。収穫後に生の大麻の成分を分析し【1】、乾燥させた後に茎を分離します。大麻は強い粘りと繊維を持つため、複数の特殊な分離機に10~13回ほどかけなければなりません【2】。その後、原油を抽出して【3】CBDだけを取り出し、残留農薬や重金属がないか検査したうえで【4】充填、出荷し、日本に運び込まれてから再び成分分析をします【5】。
この工程でつくられたものは『CBDアイソレート』といわれ、THCが混入することがない精製方法です」
引地さんは、適法な業者であれば、この【1】~【5】のすべての工程における分析表を公開しているはずだと話す。
「この5つの工程で、CBDやTHCなどの濃度分析表をホームページなどに掲載していなかったり、問い合わせた際に開示しないようであれば、その業者は疑ってみるべきでしょう。それぞれの分析表の日付が近すぎたり、次の工程までの期間が空きすぎているようなら、虚偽の申告をしているおそれもあります。
一方、適法な業者なら、ホームページ上に原料となる大麻の茎の分離工程の詳しい動画や写真まで掲載しているはずです」(引地さん)
店頭やインターネット上で見つけてもすぐに購入せず、まずは商品のホームページを確認し、可能であればメーカーに問い合わせるべきだ。怠れば、なんの効果もないニセモノをつかまされるか、知らずに違法薬物を購入する羽目になるかもしれない。
カンナビノイド審査委員会が認めたCBD原料を使用している商品には、「特定違法物質審査済証」のマークがついているはずだ。
「現在は、審査基準を満たした『オレゴンバイタリティ社製CBDアイソレート』を使用した化粧品を国内で研究開発しており、早ければ10月下旬頃の発売を予定しています。私自身も、テスト商品を3年ほど使用しています。いまのところ、長年悩んでいたアトピーの改善など、よい効果を強く実感しています」(前出・広報担当者)
日本化粧品協会では、今年7月、適法なCBDを使った化粧品の肌への安全テストを行った。
「基材には純度の高いワセリンを使い、0~1.5%まで、濃度を段階的に調整したCBDを混ぜて、平均年齢41・4才の健康な女性10人に48時間パッチシートを貼付してもらい、除去後24時間後までの経過を観察しました。結果、すべての被験者に皮膚刺激は認められませんでした」(引地さん・以下同)
引地さんも、来年4月以降に大麻取締法が改正される可能性が高いと話す。
「これほど人体への作用が強いCBDですから、医薬品としての利用のみ使用が認められるようになるかもしれません。そうなれば、違法な業者や怪しい商品は一掃されるでしょう。しかし、実際はどう規制が緩和されるかわかりません。“茎と種のみ”という部位規制がなくなるかもしれないし、THC含有量の許容範囲が設けられるかもしれない」
問題は、規制が緩和されれば、いま以上に違法なものや粗悪品が増えるおそれがあるということだ。わが国において、“大麻産業”自体がまだまだ発展途上で、より大規模な臨床試験も待たれる。悪徳業者のカモにされないためにも、われわれ消費者は安易に購入せず、慎重に検討すべき時期だ。
夢の成分・CBDは果たして、毒になるか、薬になるか――。
※女性セブン2021年10月14日号