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「私には庭がある」オープンガーデンオーナー女性が夫の死から立ち直るまで

最愛の夫を失った悲しみを癒したのもまた、庭だった(写真/森田光江さん提供)

最愛の夫を失った悲しみを癒したのもまた、庭だった(写真/森田光江さん提供)

 東京・小平市。1000坪のオープンガーデンが街の住人にやすらぎを与え、自らの脳梗塞をも癒す。造り込みすぎず、手を掛けすぎず、愛にあふれる庭はいかにして造られたのか──。

 そこは東京都小平市にある「森田オープンガーデン」。200種類を超える植物が生い茂る庭園を突き抜ける小道を歩いていくと、花や葉っぱが柵や鉢を思いっきりはみ出し、植物の生命力がダイレクトに伝わってくる。

《苦難に耐える》《逆境で生まれた力》。これは同園のオーナー、森田光江さん(76才)が最初に育て始め、「うちのガーデンのシンボル」と誇るカモミールの花言葉。奇しくもこの広大な庭が生まれたきっかけは“逆境”にあった。それは2008年、夫の武さんに胃がんが見つかったことだった。

「夫との出会いは偶然でした。私の実家の目の前に道路が作られることになって、その現場監督としてやって来たのが夫だったんです。私よりも先に母が“優しいし、真面目そうな人だ”と気に入って、お茶やお菓子を出しているうちにおつきあいが始まりました」(森田さん・以下同)

 母親の見る目は正しかったようで、ふたりは穏やかで幸せな家庭を築いた。

「夫と私はとても仲のよい夫婦でしたが、唯一のもめ事は私の花畑と夫の野菜畑の境界線をめぐるイザコザでした(笑い)」

 実家が農家だった武さんは畑仕事が大好きで、会社員をしながら庭の畑で野菜を育てていた。がんになる3年前に定年退職してからは畑にこもりきりの毎日だった。

「私は子供の頃から、道端のタンポポを見つけてはつんで帰るほどお花が大好きだったけれど、きちんと育てたことはなかったの。だから結婚して夫が趣味で畑を始めたときに隣に少しだけお花を植えたのがこの庭の始まりです。最初はお花の育て方もまったくわからなくて、夫が代わりに種をまいてくれました」

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