芸能

山下敦弘監督が語る コロナ時代の今“バカバカしい映画”を撮る理由

山下監督

山下敦弘監督が新作映画『無事なる三匹プラスワン コロナ死闘篇』を撮る理由とは?

 映画プロデューサーの伊藤主税(43才)や俳優の阿部進之介、山田孝之らが立ち上げた、短編映画制作プロジェクト『MIRRORLIAR FILMS Season1』が9月17日より公開中だ。誰でも映画を撮れる時代の自由で新しい映画制作の実現を目指し、山下敦弘監督(45才)や俳優の安藤政信(46才)ら9人の注目クリエイターが監督を務める本作。その内の1つ、『無事なる三匹プラスワン コロナ死闘篇』のメガホンをとった山下監督に話を聞いた。

 * * *
 コロナ禍の三浦海岸で、性欲を持て余したうだつの上がらない4人の中年男性の姿を描いた『無事なる三匹プラスワン コロナ死闘篇』。本作は、10年前に撮られた『無事なる三匹』の続編である。『無事なる三匹』は、東日本大震災が起きた3月11日にちなみ、41人の監督たちによる3分11秒の短編オムニバス作品の1つとして公開された。震災をテーマとする作品が多いなか、山下監督はなぜ、性欲に振り回される男たちを描いたのか。

「震災の時はとにかく気分が落ちちゃって、酒ばっかり飲んでたんです。そんな時、ホン・サンスという韓国の映画監督の作品を観ました。彼の映画といえば、文化人っぽい一見偉そうな人が出てきては、女の子に惚れて振られる、といった毒にも薬にもならない(笑い)作品が多い印象でした。でも、男たちがアタフタしてる、情けないっていうだけの映画を観ると、何となく気持ちが楽になるのを感じたんです。だから、自分もそういうものを撮りたいと思って作ったのが『無事なる三匹』でした」

 今作の『無事なる三匹プラスワン コロナ死闘篇』は、10年前の前作の続きから展開する構成となっている。観客は前作と今作を連続して観ることで、10年経っても女の話ばかりしている男たちの“変わらなさ”にどこか癒やされるはずだ。災害や疫病に直面しても失われない飽くなき欲望には、生命力すら感じられる。

「僕ら世代でいうところのドラマ『毎度おさわがせします』(TBS系)のイメージですよね。男子高校生が『女の子とエッチしたい!』って言うだけでドラマを作っちゃうみたいな。最近そういうバカバカしい映画やドラマってほとんど無いじゃないですか。何かしらの“メッセージ性”が含まれている。でも僕は、自主映画を制作していた頃からオチのない映画、成長しない主人公を撮ってきました。だから今回の『無事なる三匹プラスワン コロナ死闘篇』も、その延長線上にある。結局、僕が一番変わってないんでしょうね(笑い)」

関連キーワード

関連記事

トピックス

初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、インスタに投稿されたプライベート感の強い海水浴写真に注目集まる “いいね”は52万件以上 日赤での勤務をおろそかにすることなく公務に邁進
女性セブン
岐路に立たされている田久保眞紀・伊東市長(共同通信)
“田久保派”の元静岡県知事選候補者が証言する “あわや学歴詐称エピソード”「私も〈大卒〉と勝手に書かれた。それくらいアバウト」《伊東市長・学歴詐称疑惑》
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
「少女を島に引き入れ売春斡旋した」悪名高い“ロリータ・エクスプレス”にトランプ大統領は乗ったのか《エプスタイン事件の被害者らが「独自の顧客リスト」作成を宣言》
NEWSポストセブン
東京地裁
“史上最悪の少年犯罪”「女子高生コンクリート詰め事件」逮捕されたカズキ(仮名)が語った信じがたい凌辱行為の全容「女性は恐怖のあまり、殴られるままだった」
NEWSポストセブン
「高級老人ホーム」に入居したある70代・富裕層男性の末路とは…(写真/イメージマート)
【1500万円が戻ってこない…】「高級老人ホーム」に入居したある70代・富裕層男性の末路「経歴自慢をする人々に囲まれ、次第に疲弊して…」
NEWSポストセブン
橋幸夫さんが亡くなった(時事通信フォト)
《「御三家」橋幸夫さん逝去》最後まで愛した荒川区東尾久…体調不良に悩まされながらも参加続けていた“故郷のお祭り”
NEWSポストセブン
麻原が「空中浮揚」したとする写真(公安調査庁「内外情勢の回顧と展望」より)
《ホーリーネームは「ヤソーダラー」》オウム真理教・麻原彰晃の妻、「アレフから送金された資金を管理」と公安が認定 アレフの拠点には「麻原の写真」や教材が多数保管
NEWSポストセブン
”辞めるのやめた”宣言の裏にはある女性支援者の存在があった(共同通信)
「(市議会解散)あれは彼女のシナリオどおりです」伊東市“田久保市長派”の女性実業家が明かす田久保市長の“思惑”「市長に『いま辞めないで』と言ったのは私」
NEWSポストセブン
二刀流復帰は家族のサポートなしにはあり得なかった(getty image/共同通信)
《プールサイドで日向ぼっこ…真美子さんとの幸せ時間》大谷翔平を支える“お店クオリティの料理” 二刀流復帰後に変化した家事の比重…屋外テラスで過ごすLAの夏
NEWSポストセブン
左から広陵高校の34歳新監督・松本氏と新部長・瀧口氏
《広陵高校・暴力問題》謹慎処分のコーチに加え「残りのコーチ2人も退任」していた 中井監督、部長も退任で野球経験のある指導者は「34歳新監督のみ」 160人の部員を指導できるのか
NEWSポストセブン
鉄板焼きデートが目撃されたKing & Princeの永瀬廉、浜辺美波
《デートではお揃い服》お泊まり報道の永瀬廉と浜辺美波、「24時間テレビ」放送中に配慮が見られた“チャリT”のカラー問題
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(X、時事通信フォト)
大麻成分疑いで“ガサ入れ”があったサントリー・新浪剛史元会長の超高級港区マンション「かつては最上階にカルロス・ゴーンさんも住んでいた」
NEWSポストセブン