『無事なる三匹プラスワン コロナ死闘篇』は、制作陣、キャスト共に前作と同じメンバーが集結。自主映画を制作していた頃からの盟友、向井康介(44才)が脚本を、近藤龍人(45才)が撮影を担当し、俳優陣には山本浩司(47才)、山本剛史(45才)、宇野祥平(43才)が配された。
「前作のメンバーと一緒に、同窓会みたいな感じで作ったんですよ。今回撮ることになったのは、山田孝之くんからの『映画作りませんか?』というLINEがきっかけだったんですよ。やらしい話、オムニバス短編で、予算的にも小さい映画ならプロデューサー達にうるさく言われずに自由に撮れるだろうなと思ってすぐに承諾しました。最初から自主映画のノリで作るつもりだったんです(笑)。前作は自分たちでお金を出し合って撮ったので、あの時に比べればずっと贅沢でしたけど」
予算が増えたことで、水澤紳吾(45才)、山本ロザ、アイドルグループ「ベッド・イン」の益子寺かおり(36才)と中尊寺まい(34才)も新しくキャストに加わった。
「水澤さんとは普段からよく一緒にお酒を飲んでいて、いつか一緒に仕事したかったんです。ロザさんは以前からよく知ってるんですけど、『ベッド・イン』の2人と仕事するのは今回が初めてです。脚本の向井が、中尊寺さんが働く四谷の『スナックアーバン』の常連で、その縁で出演してもらいました。結局、キャストもスタッフもほとんどみんな知り合い。半径10メートル以内の身内で作った映画ですね」
仲間内で作った親密な短編映画である今作。三度目の続編はあるのだろうか。
「テレビドラマでやりたいですね。オチを付けずに見切り発車で撮っちゃいたい。今回も、ある若い映画監督から『外出自粛で女性の性欲が今すごいことになってるらしいですよ』って聞いたので、そのくだらない与太話を元に向井に脚本書いてもらったんですよ。こんな話だったらいくらでも作れると思います(笑い)。誰か興味持ってくれるプロデューサーさんいないですかね?」
世界中がパンデミックで混乱し、シリアスになっていく時代だからこそ、半径10メートルの与太話から生まれた、今作のような“くだらない映画”が見たくなる。
【プロフィール】山下敦弘(やました・のぶひろ)/1976年生まれ。愛知県出身。1995年大阪芸術大学映像学科に進学。1999年に卒業制作として初の長編映画『どんてん生活』を完成させる。これを機に、向井康介、近藤龍人と共に映画制作団体「真夜中の子供シアター」を発足。代表作に『リンダ リンダ リンダ』(2005年)や『天然コケッコー』(2007年)、『マイ・バック・ページ』(2011年)などがある。『MIRRORLIAR FILMS』プロデューサーの山田孝之とは、ドラマ『山田孝之の東京都北区赤羽』(2015年)や、映画『ハード・コア』(2018年)でタッグを組んだ。
取材・文/安里和哲 写真/木川将史