「最後の宣言がとどめになってしもた」
東大路通りを渡り、高台寺方面に向かう。「ねねの道」に隣接する公園の近くで近所の飲食店関係者と立ち話をした。
「週末はそれなりに人が出るようになりましたけど、平日は静かですな。外国人客は、すっかり見かけまへん。お店は大変やけど、静かな雰囲気はありがたいですね」
なんとも複雑な心境なのだろう。
「ねねの道」を円山公園、八坂神社方面に向かう。コロナ前に訪れたときはレンタル着物に着替えたアジア系の女性たちの姿が目立ったが、いまは閑散としていてすれ違う観光客も数組だ。界隈の店はどこも静まり返っている。
円山公園を過ぎ、知恩院の近くに差し掛かった時、中学生の集団とすれ違った。修学旅行だろうか。駐車場には大型観光バスが2台止まっていた。10月以降、少しずつ修学旅行生が京都を訪れるようになったという。
せせらぎが美しい祇園白川をそぞろ歩き、四条通に出て、今度は先斗町を散策。お昼時なっていたが、営業している店はそう多くはない。馴染みの店は数年前に閉店し、「FOR RENT」の貼り紙が。通りを行きかう人も少ない。途中の空き地では猫が昼寝をしていた。
三条通のタバコ屋さんの前に灰皿があり、そこだけ人が集まっている。一服しながら先斗町の飲食関係者と束の間の会話を。
「随分静かですね」と聞くと「店は厳しいですよ。ほら、あそこの2軒もこの間閉めてしもうたんですわ。よく耐えてはったんやけど、最後の(緊急事態)宣言がとどめになってしもたみたいです。20年以上もやってきたのに。コロナさえなかったらな」とポツリ。
観光シーズンには修学旅行生でごった返す新京極も閑散としている。「テナント募集」「FOR RENT」の貼り紙が数か所ある。
京の台所・錦市場に入る。平日が定休日のお店があったこともあり、拍子抜けするぐらい、すいすいと歩けてしまう。以前は行きかう買い物客、立ち食いの観光客らでごった返していたのが嘘のようだ。おかげで土産用の黒豆茶も漬物もさっさと買うことができ、鮮魚からうなぎ、湯葉、ちりめん山椒など各店の商品をじっくりと観察することができた。なかには「土日祝のみ営業」という店もあった。