紅葉シーズンの宿泊にも「空き」
駆け足で祇園から東山界隈、先斗町、新京極、錦市場と巡ってみた。数十年間、京都を見てきたが、これほど静かな街を訪れたのは初めてだった。
人通りのなくなった先斗町(10月中旬の平日)
筆者が訪れてから10日あまり経ち、時短要請が解除されたことで京のまちも随分と賑わいを取り戻しつつあるようだが、コロナ禍で受けた打撃はあまりにも大きかった。
コロナ禍前の数年間は増え続ける外国人観光客で、オーバーツーリズムが問題になっていたが、最近はいわゆる観光公害はすっかりなくなった。その代わり、観光客激減で飲食店、ホテル、旅館、ゲストハウス、土産物店などは大きな収入減となり、店をたたまざるを得なくなったところも少なくない。今回の訪問でも、その傷跡を目にした。
もうじき本格的な紅葉シーズン、本来なら稼ぎ時だが、今年はどうなるか。
ちなみにネットで京都の宿泊予約状況をチェックしてみると、11月上旬、紅葉シーズンの土曜日でも414件ヒットした(10月23日時点)。昨年開業したばかりのホテル(烏丸二条)は大人2人宿泊(素泊まり)が1室5800円。一人当たり2900円と格安である。一方で超高級ホテルは1泊199万9998円(2ベッドルームスイート)なんてプランも。まさにピンキリだが、それでも、まだ予約できる状況ではある。
「バブルが終わってからも京都の紅葉シーズンはものすごい人気で、1か月ぐらい前だと予約さえできなかった。キャンセル待ちか、コネを駆使して押さえてもらうしかなかった」(50代のビジネスマン)
そんな時代と比べ、今の京都は静かな雰囲気を楽しむことができ、観光には最適な環境なのかもしれない。そう思った観光客も多いのではないだろうか。