「観光再興」に必要なビジョン
ざっとこの間の状況を見てきたが、かなり厳しい状況である。加えて、最近になって京都市の財政危機がクローズアップされ、市の今後の予算編成に注目が集まっている。観光再興に向けたドラスチックな政策を打ち出せるかどうか。
これからの紅葉シーズンにどれだけ客足を戻せるか(四条河原町)
一方では、アフターコロナを見越した大手資本による京都市内のホテル開業ラッシュが話題となっているが、目論見通りにいくかどうか。
京都市観光協会データ月報では、8月末時点の市内の宿泊施設数は3710軒で、前月末から22軒減少した。4月末時点では3784軒だったから70軒以上も減ってしまった。新たなホテル開業ばかりが脚光を浴びているが、現実は消えていく施設がじわじわと増えているのだ。ちなみに2020年1年間では、新規開業が518軒だったのに対し、廃業は580軒だった。
ここへきてコロナの新規感染者数は大幅に減少しているが、屋外でのマスク着用義務、バーやレストランの人数制限など規制が解除された英国では感染再拡大が指摘されている。日本でもこの冬の第6波が懸念されている。観光政策はよほど慎重に行わないと、かつてのGo To政策の二の舞になりかねない。
そうした中、壊滅的な打撃を被った京都の観光をどう再興していくのか。京都の街をどう活性化させていくのか。従来とは違う発想のモデル構築、新たなビジョン策定が必要だろう。貴重な観光資源をどう活かしていくのか。世界に誇る古都の知恵に期待したい。
●撮影/山田稔