加えて菅氏復権を後押しするのが、気脈を通じる日本維新の会の躍進である。維新は同党副代表の吉村洋文・大阪府知事が「岸田さんのやり方で日本が成長するとは思わない。世界との競争の中では内向きの思想では衰退する」と批判、馬場伸幸・幹事長は岸田首相が3A(安倍晋三氏、麻生太郎氏、甘利氏)の影響下にあることを「四人羽織内閣なのではないかと国民の目に映っている」と揶揄するなど、岸田政権を批判してきた。菅政権時代の協力姿勢とは対照的だ。
「維新が菅政権時代に比べて自公政権と距離を取るようになったのは明らか。自民の議席減、維新の議席増により今後、岸田政権は維新に頼る局面が増えてくる。そうなれば、自民党内では維新にパイプを持つ菅さんの存在感が再び増すでしょう。
今回の選挙では、投票の理由に『景気・雇用対策』に次いで『新型コロナウイルス対策』があがりました。つまり、菅政権時代のコロナ対策が遅まきながら有権者に評価されたという見方もできる。党内には、『信任を得たのは岸田政権ではなく菅前政権だ』との声もあり、菅さんの周辺では『安倍さんも第一次政権では失敗した。菅さんにも再登板のチャンスがあるのでは』という期待まで生まれている。今後の党運営や来年の参院選の結果次第では、再登板説が浮上するかもしれません」(同前)
今回の衆院選を受けて、自民党内のパワーバランスが大きく変わろうとしている。