そういう人だと思えば、最も注目を浴びるこの日に、謝罪会見の定番であるグレーの服など着るはずもない。時計や指輪だって、「目立つ物は外さなければ」などと思いもしなかったのではないだろうか。主役は自分なのだ。緊張はしてもテンションは高揚していたのかもしれないし、召喚した都議会と対決するような気分だったのかもしれない。
だからワンピースは勝負の赤。だが、さすがにそれだけではマズいと思ったのだろう。赤い服を着た気持ちや感情を覆い隠し、人前で抑えるためにも、羽織るジャケットは無難な紺。そんな感覚でこの色の組み合わせを選んだのでは、という印象を受けたのだ。
ところでこの赤の色、つい最近、見た覚えがないだろうか。11月4日、日本ハムファイターズの新監督となった新庄剛志さんが就任会見で着ていた、あのスーツと同じえんじ色なのだ。会見時「ド派手」と評されたように、赤は自分を積極的にアピールする色。現役時代から赤がイメージカラーという印象があったが、就任会見での赤はさらに積極的、活動的、エネルギッシュで前向きな強い感情をイメージさせる色だった。
同じ色でも場と状況などのTPOに合わず、着る人間の背景が違えば、そこから受ける印象は全く異なるものになるのだ。
新庄監督のスーツを仕立てたという会社の社長は、「情熱の赤で野球界を盛り上げてほしい」」とエールを送っているという。そう言われればこの赤は、内に秘めた、いや内から湧きでてくるような熱い情熱を感じさせる色だろう。もしかすると木下都議も、都議会議員という立場と仕事に対する情熱?を世間にアピールしたい、という狙いがあったのかもしれない。