総額1000憶円超の「議員特権費用」
議員たちは文通費を丸ごとポケットマネーとして使える。同様に、“お手盛り”で数々の特権を編み出してきた。
選挙区と国会(東京)の移動にかかる「交通費」は国から無料で新幹線・グリーン車乗り放題のJRパスや航空機の無料チケットを支給させた。国がJRや航空会社に支払う費用は議員1人平均年間約200万円だ。また、議院派遣の国会議員の海外視察も渡航費用は全額税金で賄われる。
東京への「滞在費」もタダ同然だ。国会議員には衆参の議院会館に約100平米の事務所が無料で与えられ、会館の光熱費や備品代、電話代も国費負担。東京・赤坂の豪華な議員宿舎は3LDK(約82平米)で家賃は月約14万円。周囲の同程度のマンションの家賃相場と比べると4分の1程度の格安で提供させている。いずれも、国会議員が法律を通して決めた役得だ。岩井奉信・日本大学大学院講師(政治学)が指摘する。
「文通費の支給が始まったのは戦後間もない1947年からで、当時は国会議員には官舎もなく、選挙区との往復も大変だった時代です。すでに役割を終えたにもかかわらず、議員は既得権として手放さず、金額も増えて第2の給料と化していった。廃止すべきだし、仮に残すとしても、実際にかかった費用を後精算するように改めるべきです」
国はこのほかにも、公設秘書3人分の給料、立法事務費などを負担しており、歳費や数々の議員特権の総額は年間約1051億円にのぼる。国会議員1人ざっと1億5000万円を国民は税金で負担させられている。
※週刊ポスト2021年12月10日号