発信を始めたのは、具体的な情報を得られない思春期世代の子たちにダイレクトに届けたいと思ったのがきっかけだという(画像はYouTubeより)
決断するための情報提供
性教育YouTuberとして活動するなかでシオリーヌさんが気をつけているのは、「私が正解を決めない」ことだという。
「産婦人科での経験から学びましたが、いろんな境遇を生きてきた子がいて、その人の人生はその人だけのものなんです。例えば、たくさん母乳が出るのにミルクを飲ませたいという方がいた。助産師になりたての私は、母乳が出るならあげればいいのにと思ったが、聞いてみるとパパが育児参加するのでということだった。自分の常識が相手の常識じゃないと気づきました」
相手が大人でも子供でも「自分自身で選択する権利」は尊重されるべきだと話す。
「性教育の根底には『セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(SRHR:性と生殖に関する健康と権利)』というものがあります。これは自分の性や生殖に関することを自分で決められる権利のことです。
だから私は若い人のセックスも否定はしません。そう言うと批判されることもあるし、『学生のうちはセックスするべきじゃない』と講演先の学校の先生に言われたこともあります。
ただ、自分で決めて進むのと、知らないから進んでしまうのは意味が違う。私にできるのは、子供たちが後悔する選択をしないように、決断するための情報を提供することです」
【プロフィール】
大貫詩織(おおぬき・しおり)/1991年生まれ。助産師、思春期保健相談士の経験を活かし、性に関する情報をYouTubeで配信。
取材/田村菜津季
※週刊ポスト2021年12月10日号