芸能

“たけしフェチ”劇団ひとりの見事な手腕で甦った1970年代浅草の匂い

『浅草キッド』を観て甦るあの頃

『浅草キッド』を観て甦るあの頃

 放送作家、タレント、演芸評論家で立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、映画『浅草キッド』を観て甦った1970年代のエンターテインメントについてつづる。

 * * *
 Netflix映画『浅草キッド』がやっと始まる。原作は誰でも知ってるビートたけしの若き日。監督脚本は芸界の中でも“たけしフェチ”として知られる劇団ひとり。異様なたけし愛に燃える太田光、水道橋博士、玉袋筋太郎らは嫉妬の炎がメ~ラメラだろう。エノケン・ロッパはすでに亡く、渥美清、東八郎、萩本欽一は映画テレビへと行ってしまい浅草六区は草木も生えない1970年代である。

 マスコミに背を向けひとり浅草に残った孤高のコメディアン深見千三郎。そのするどいつっこみを東、萩本も深見から学んでいる。大学を中退し、ドロップアウトしたような気分でフラリと何もない浅草へやって来た若者……そう北野武である。日本中がほとんど知っているビートたけしの“人生劇場”のオープニングである。

 ここからが劇団ひとりの腕のみせどころ。本当の六区のキッドと思える師・深見を大泉洋、たけしを柳楽優弥(たけし所作指導・松村邦洋とあるのが笑える)。フランス座のマドンナに門脇麦。キャスティングが見事すぎるのが相棒ビートきよしになんとナイツの土屋伸之(自然体が良く、キチンと浅草の匂いを感じさせる)。東京の“エンターテインメントよ再び”の夜明けを見てほしい。

 そんな時代、映画界もすっかりさびれ斜陽化。ひと筋の光が差したのが“日活ロマンポルノ”である。我々団塊の世代はせっせと映画館へ通い出した。「日活ロマンポルノ 50周年記念」のイベントが11月27日(土)、28日(日)、池袋の新文芸坐で開かれた。そう、あの日本シリーズ、川端のヒットでヤクルトVが決まったあの試合の同時刻、いっぱいの文芸坐はロマンでポルノなひと時を過ごしていたのだ。

関連記事

トピックス

小学館が公表した「調査報告書」より抜粋
『セクシー田中さん』小学館調査報告書 日本テレビとの契約時のやりとり詳報「脚本もしくは詳細プロットの体裁で」
NEWSポストセブン
黒柳徹子のミュージアムができる
【人生の集大成】黒柳徹子の“ミュージアム”が軽井沢に建設中 計画をリードするのは“ビーズ界のカリスマ”
女性セブン
世界で活躍する真田
【全文公開】真田広之がサシ飲みでエール 俳優転身の次男・手塚日南人が明かす“知られざる離婚後の家族関係”
女性セブン
「金欠」だという宮迫博之
宮迫博之、千葉テレビ出演番組お蔵入り騒動でさらに遠ざかる地上波復帰 テレビ局からは相変わらずの“腫れ物扱い”
NEWSポストセブン
手指のこわばりなど体調不安を抱えられている(5月、奈良県奈良市
美智子さま「皇位継承問題に口出し」報道の波紋 女性皇族を巡る議論に水を差す結果に雅子さまは静かにお怒りか
女性セブン
兄弟
《愛情秘話》平野紫耀&莉玖兄弟、病気を乗り越え育ててくれた母への感謝「頑張っているのは親のため」「ダンスに関しては厳しかった」
女性セブン
約2年半ぶりにアーティストとしてステージに戻ってくる與真司郎
與真司郎 約2年半ぶりの全国ソロツアーが開幕! カミングアウトから1年の胸中告白【PART1】 カミングアウトに至るまでと、その後の葛藤を超えて
NEWSポストセブン
高橋一生&飯豊まりえ
福山雅治&吹石一恵、向井理&国仲涼子、高橋一生&飯豊まりえ…「共演夫婦」の公私にわたる絶妙なパワーバランス
女性セブン
『EXPO 2025 大阪・関西万博』のプロデューサーも務める小橋賢児さん
《人気絶頂で姿を消した俳優・小橋賢児の現在》「すべてが嘘のように感じて」“新聞配達”“彼女からの三行半”引きこもり生活でわかったこと
NEWSポストセブン
NEWS7から姿を消した川崎アナ
《局内結婚報道も》NHK“エース候補”女子アナが「ニュース7」から姿を消した真相「社内トラブルで心が折れた」夫婦揃って“番組降板”の理由
NEWSポストセブン
JR新神戸駅に着いた指定暴力団山口組の篠田建市組長(兵庫県神戸市)
【厳戒態勢】「組長がついた餅を我先に口に」「樽酒は愛知の有名蔵元」六代目山口組機関紙でわかった「ハイブランド餅つき」の全容
NEWSポストセブン
今シーズンから4人体制に
《ロコ・ソラーレの功労者メンバーが電撃脱退》五輪メダル獲得に貢献のカーリング娘がチームを去った背景
NEWSポストセブン