芸能

『青天を衝け』、好調をキープできた「3つの理由」を時代劇研究家が解説

青天を衝け

評価する声が多い『青天を衝け』(公式HPより)

 NHK大河ドラマ『青天を衝け』は12月26日に最終回を迎える。“日本資本主義の父”と称される渋沢栄一を人気俳優・吉沢亮が演じたことでも話題を集めた。視聴率も好調で、SNSなどでも「名作」と評価する声が目立った。1年近く好調を持続できた背景をコラムニストで時代劇研究家のペリー荻野さんが解説する。

 * * *
 まもなく最終回となる『青天を衝け』。2月放送開始という変則スタートながら、安定した視聴率を獲得し続けてきた。そこで、その人気の秘密を改めて考えてみたいと思う。

 秘密その1は、序盤のロケ地の素晴らしさだ。渋沢栄一は、武蔵国の血洗島村(現在の深谷市)の有力農家の嫡男として、藍玉の製造や販売を手伝いながら、商才を磨く。舞台となる血洗島村は、丸ごとオープンセットとして群馬県安中市に作られている。東京ドーム5個分の広大な土地に2トンダンプ40台分の土を運んで藍や桑を三千本以上植え込み、栄一の生家のセットもほぼ実物大で再現。道祖神やほこらまで造られたという。

 青々とした藍の畑を栄一やいとこの喜作(高良健吾)は、思い切り走り回る。子ども時代は、囚人(砲術家の高島秋帆・玉木宏)に興味を持ち、夜道を疾走。少年となって、商用で父と江戸へ行けると大喜びで喜作の家に駆け込む。

 コロナ禍で家にこもりがちな毎日、この突き抜けた映像は、気持ちよかった。村の祭り、川遊び、畑の収穫、葉を広げた「ひこばえの木」、爽快な空気を感じさせるスタートダッシュだった。

 秘密その2は、栄一のおしゃべりを活かし、しばしば名言が飛び出したこと。

 たとえば、初めて江戸に出た栄一は、祭りのようなにぎわいに浮かれるばかりではなく、町を動かしているのが商いだと気づく。そして出たのが、「この町は商いでできている!!お武家さまがまるで脇役だ。こんなほまれはねぇ。この江戸の町はとっさまみてぇな商い人がつくってるんだいな」という言葉。世の中を動かしているのは誰か。視聴者にも気づかせるのだ。

 また、パリで証券取引所に案内され、債券の仕組みを教わった栄一は目を輝かせる。

「小さな力を合わせて大河の流れを作り、一人では決して出来ないみなが幸せになるものを生み出す。一人が嬉しいのではなく皆が幸せになる。一人一人の力でこの世を変えることが出来る。おかしれぇ。これだ。俺が探し求めてきたことはこれだ!」

関連キーワード

関連記事

トピックス

事件に巻き込まれた竹内朋香さん(27)の夫が取材に思いを明かした
【独自】「死んだら終わりなんだよ!」「妻が殺される理由なんてない」“両手ナイフ男”に襲われたガールズバー店長・竹内朋香さんの夫が怒りの告白「容疑者と飲んだこともあるよ」
NEWSポストセブン
4月は甲斐拓也(左)を評価していた阿部慎之助監督だが…
《巨人・阿部監督を悩ませる正捕手問題》15億円で獲得した甲斐拓也の出番減少、投手陣は相次いで他の捕手への絶賛 達川光男氏は「甲斐は繊細なんですよね」と現状分析
週刊ポスト
第一子となる長女が誕生した大谷翔平と真美子さん
《左耳に2つのピアスが》地元メディアが「真美子さん」のディープフェイク映像を公開、大谷は「妻の露出に気を使う」スタンス…関係者は「驚きました」
NEWSポストセブン
防犯カメラが捉えた緊迫の一幕とは──
「服のはだけた女性がビクビクと痙攣して…」防犯カメラが捉えた“両手ナイフ男”の逮捕劇と、〈浜松一飲めるガールズバー〉から失われた日常【浜松市ガールズバー店員刺殺】
NEWSポストセブン
和久井学被告と、当時25歳だった元キャバクラ店経営者の女性・Aさん
【新宿タワマン殺人・初公判】「オフ会でBBQ、2人でお台場デートにも…」和久井学被告の弁護人が主張した25歳被害女性の「振る舞い」
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(27)と伊藤凛さん(26)は、ものの数分間のうちに刺殺されたとされている(飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
「ギャー!!と悲鳴が…」「血のついた黒い服の切れ端がたくさん…」常連客の山下市郎容疑者が“ククリナイフ”で深夜のバーを襲撃《浜松市ガールズバー店員刺殺》
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(Instagramより)
《愛するネコは無事発見》遠野なぎこが明かしていた「冷房嫌い」 夏でもヒートテックで「眠っている間に脱水症状」も 【遺体の身元確認中】
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
「佳子さまは大学院で学位取得」とブラジル大手通信社が“学歴デマ報道”  宮内庁は「全報道への対応は困難。訂正は求めていません」と回答
NEWSポストセブン
米田
「元祖二刀流」の米田哲也氏が大谷翔平の打撃を「乗っているよな」と評す 缶チューハイ万引き逮捕後初告白で「巨人に移籍していれば投手本塁打数は歴代1位だった」と語る
NEWSポストセブン
花田優一が語った福田典子アナへの“熱い愛”
《福田典子アナへの“熱い愛”を直撃》花田優一が語った新恋人との生活と再婚の可能性「お互いのリズムで足並みを揃えながら、寄り添って進んでいこうと思います」
週刊ポスト
生成AIを用いた佳子さまの動画が拡散されている(時事通信フォト)
「佳子さまの水着姿」「佳子さまダンス」…拡散する生成AI“ディープフェイク”に宮内庁は「必要に応じて警察庁を始めとする関係省庁等と対応を行う」
NEWSポストセブン
まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト