2014年サッカーワールドカップ1次リーグ・日本-ギリシャ。日本代表イレブンと整列するエスコートキッズ(時事通信フォト)
Jリーグ世代、ワールドカップ初出場に湧いた中心世代もいまや40代50代、2019年のJリーグスタジアム観戦者調査(サマリーレポート)によれば、サポーターの平均年齢は42.8歳ということでまさしくこの辺りだろう。高齢化は確実に進んでいる。コロナ禍による無観客、観客制限は厳しかったが徐々に緩和されることを期待するしかない。
「やはり子どもがサッカーを支えてくれることが一番なんです。少子化でもサッカーを選んでもらえるように上も下も努力しなけりゃいけません」
少子化により学校も企業も子どもの奪い合いとなって久しい。2020年の出生数は84万人で過去最少を記録した。2021年上半期の速報値では40万5029人と最少更新どころか80万人を割り込むのは時間の問題である。ちなみに筆者の生まれた1972年の出生数はおよそ200万人(!)、団塊ジュニアと呼ばれる1971年から1974年まで毎年200万人台で、この世代の競争は厳しかったわけである。もちろん団塊世代と呼ばれる1947年から1952年も毎年200万人台を記録、この2世代に比べると昨今の人口減は深刻極まりない。
人口減による子どもの奪い合い、奪い合いに近年あらゆる人気を独占してきたサッカー界も巻き込まれようとしている。それにしても子どものサッカー人口、あくまでJFAの登録者数上のこととはいえ深刻である。有料ネットの独占配信により代表戦の地上波が減っていることも個人的に気がかりだ。短期的な資金源としては魅力的なのだろうが、子どもたちの目にする機会そのものを奪い、大切なはずの裾野そのものを徐々に蝕むかもしれない。
【プロフィール】
日野百草(ひの・ひゃくそう)/本名:上崎洋一。1972年千葉県野田市生まれ。日本ペンクラブ会員。出版社勤務を経てフリーランス。全国俳誌協会賞、日本詩歌句随筆評論協会賞奨励賞(評論部門)受賞。著書『誰も書けなかったパチンコ20兆円の闇』(宝島社・共著)、『評伝 赤城さかえ 楸邨、波郷、兜太から愛された魂の俳人』(コールサック社)他。