残忍な犯行に遺族が思いを吐露(写真左は宮本被告、右が真優子さん)

残忍な犯行に遺族が思いを吐露(写真左は宮本被告、右が被害者の真優子さん。遺族提供)

 翌14日の午前中に、真優子さんと親交の深い知人のふたりが、ビルオーナーの同行のもとカギを開け、入ってすぐの床に横たわった真優子さんを発見した。志半ばで命を落とした真優子さんにとって、誰よりも信頼を寄せていたふたりに発見されたことは、唯一の救いだろう。

 連絡を受けた両親は一度、天満に足を運んだ。だが、第一発見者からの連絡によって曾根崎署に向かう。10か所以上を刺され、損傷の激しい真優子さんの遺体とはすぐに対面できず、真優子さんで間違いないかどうかの確認は、写真で行った。

「最初は、娘の顔とは思えなかった。覚えているのは、私たちは写真に手を触れることができず、刑事さんが写真を持って、『間違いありませんか』と私たちに見せてくれたこと」(峰雄さん)

「よっぽど酷かったんでしょうね……写真に写った首元の傷跡の部分は、刑事さんが手で隠してくれていました」(由美子さん)

裁判が決着するまで生きていられないかもしれない

 曾根崎署の遺体安置所で対面したのは遺体発見の翌日。身体全体が白い布で覆われ、拝顔することしかできなかったが、間違いなく大切な娘・真優子さんだった。両親があとから聞かされた話によると、髪の毛が引きちぎれるぐらいに宮本被告に引っ張られたというものの、遺体にはそうした跡が見て取れなかった。

 さらに翌日の6月16日に執り行われた葬儀。出棺には大阪府警の刑事ふたりもやってきて、両親にこう告げた。

「もう間もなく犯人は逮捕されます。それを真優子さんに報告したくて、やって来ました」

 私は真優子さんの実家を何度か訪れ、小さな骨壺が置かれた簡易的な仏壇を前にお線香をあげた。彼女にとって4歳上の兄である雄介さんとも、殺害現場となった「ごまちゃん」で会った。雄介さんはこう懺悔した。

「私が真優子を殺したようなもんです。僕が昔からやんちゃばかりして、両親を困らせていた。特に、父が仕事中の事故で左足を切断し、義足となってからは、真優子が一家を支えて来た一面があるんです。両親思いの、ほんまに優しい子やったと思います」

 雄介さんは二度の離婚歴に加え、子どもが4人いる。

「甲斐性がなく、養育費を支払えなかった僕に代わって、群馬まで車を自分で運転し、元妻や娘に謝罪に行ってくれたこともありました。真優子が以前、働いていたお店にも僕は迷惑をかけたことがあった」

 雄介さんは妹の遺体と対面することはなかった。雄介さん自身、真優子さんに合わせる顔がなかったのかもしれない。両親も、そして兄である雄介さんも、ぶつけどころのない怒りを抱えてこの半年を過ごしてきた。被害者側の弁護士は、刑事裁判の見通しが立っていないことを明かした。

「相手側弁護人の公判前整理手続きに時間を要しており、裁判の日程はまったく決まっていません。裁判員裁判になりますので、こうした凶悪犯罪の場合、どうしても時間がかかってしまいます」

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