誰にも真似できないネタをやり続け、孤高のカルト芸人と呼ばれるようになり、テレビでブレイクしたかと思うと、アイドルとお笑いツーマンライブを開催する。自身も思い描いてなかったような活動の幅に、あり余るロック愛を存分に生かした仕事も加わった。また新しい一面を見せられたのではないだろうか。
「YouTubeでも取り上げた、ザ・スミスというバンドがいるんですけど、先日公開されたザ・スミス関連の映画のイベントに呼ばれるような域まで来ました。ファン代表でもなんでもないのに。
永野は奇声を発してるだけの、まともに話す事が難しい人だと思われていたので、書籍やYouTubeを見た人にはその点は払拭出来たと思います。ありがたいことに書籍が好評で、ファンだった(ロックバンド)ギターウルフのセイジさんと対談もできたし、知り合いの(ミュージシャンで俳優の)金子ノブアキとも音楽の対談ができました。それは嬉しかったですね。
セイジさんとの対談なんて、噛み合わなすぎてめちゃくちゃ面白かったです。セイジさんはロックンロール、ガレージロックの人。僕は90年代の、オルタナティブと呼ばれる変な時期のロックを通ってきた。今思えば、名前の通り亜流のロックなんですよ。でも僕は亜流にも本物があると思ってるし、新しいものは亜流が作ると思ってます。
ある意味、ニルヴァーナと出会ってしまったばっかりに、こんな人生になったんじゃないかな。90年代のオルタナティブロックを聴いてなかったら、J-POPばっかり聴いてたら、もっと人生楽しかったのかなと思います。だって今でも、どっかでヤバいトラブルないかな、嫌なことをネタにしよう、って負のアンテナを立てまくってますもん」
ロックのほかにも、洋画からも多大な影響を受けているという永野。まだまだ引き出しはたくさんありそうだ。
◆取材・文/大木信景(HEW)