小阪さんが社長を務める「チアリード」の公式HP
「悩んでいる子たちは『表に出ている自分』を大事にしていて本当に自分が考えていることをなかなか口に出そうとしません。本当はやりたくない仕事であっても『せっかく取ってきてもらったから』と断れないなど様々な悩みを抱えています。さらに芸能の仕事は本来は“一番の味方”であるはずの両親からも反対されることがある。私は『まずご両親に納得してもらうために頑張ろう』と伝えるようにしています。
ただ一方で、『どんな仕事をしたいの?』『どんな女優さんになりたいの?』と聞くと、口ごもってしまう人が非常に多いのが問題です。みんな『テレビに出たい』という漠然とした目標はあっても、どんなタレントになりたいかという軸がない。そういう子とは、しっかりとした人生の細かな目標を一緒に立てています。他には事務所を辞めてフリーになったが、『誰に何を営業すればいいのか分からない』という子の相談にも乗っています」(小阪さん)
芸能の仕事は売れるまでは金銭的な苦労も伴うことが多い。小阪さんは芸能界を引退後、千葉県で保育園を立ち上げるなど幼児教育の仕事を始めた。
「私もそうでしたが、10代で芸能界に入った子は辞めると『芸能しか知らない』という不安がつきまといます。アルバイトもろくにしたことがないし、お金もそんなにないのに『単純作業はしたくない』といった変なプライドがある。私は自分の経験も踏まえながら、『社会勉強は芸能にも役に立つよ』とか『お金があるほうが安心して芸能に取り組める』と伝えて、芸能の仕事をしながら売れるまでの生活を支える“パラレルキャリア”の相談に乗っています。
私は芸能以外にも昔から憧れていた保母さんという仕事があったので、そちらに目を向けることができて幸せだったと思います。他の子たちは、芸能で活躍することが夢だと思うからこそ、将来の不安が少しでも軽減されるよう、安心して夢を追えるような環境を整えることを意識して考えてほしいですね」(小阪さん)
これまでは知人からの紹介がほとんどで、“サービス”のようなかたちで相談に乗ってきたが、結婚という人生の新たな第一歩を踏み出したことで仕事の面でも前に進む決意が固まったという。
「夫も交際している時から、『絶対にやったほうがいい』と後押ししてくれました。彼も芸能界で苦労して悩んでいた時期があったのでそう思ってくれたみたいです。事業といっても、すぐにお金に直結する事業内容ではないことは分かっています。今までなかったことをやろうとしているので、認知されるまでには時間がかかるだろうと思います。ですが、『自分だからこそできること』というのはやりがいがあるので、芸能の仕事で悩んでいる人はぜひ気軽に声をかけてほしいです」
数々の困難をくぐり抜けてきた小阪さんだからこそ、悩んでいるタレントに寄り添える新たな方法があるのかもしれない。小阪さんは結婚とともに、「社長」としても新たな一歩を踏み出したばかりだ。