協会としての対応が問われている(中央が八角理事長。写真/雑誌協会)
その一方で、関係者の間では様々な情報が駆け巡った。若手親方はこう話す。
「違法賭博店の経営には、最初に名前の挙がった2人とは別のある力士のタニマチが関わっているという情報もあった。その力士を通じて、英乃海らが出入りするようになったというのです。本来なら、協会はその力士からも聴取するべきだが、警察が事情聴取していないこともあって、今のところ波及していく様子はない」
引退勧告は出ない?
場所が始まると違法賭博関連の報道は沈静化した。コロナの感染拡大を防ぐため、相撲担当記者も力士や親方との接触は認められず、リモート取材が基本という状況も影響したのだろう。加えて協会内では箝口令が敷かれたといい、前出の若手親方は「場所中は国技館内でこの話題を口にするのはNG。噂話もできない状況だ」と話す。
そうしたなか、7日目となる1月15日には、共同通信が〈英乃海と紫雷がコンプライアンス委員会の調査に対し、賭博行為を認めたことが関係者の話で分かった。14日の最終会合で協議された処分意見は八角理事長に答申。27日の協会定例理事会で審議され、処分が決まる見込みだ〉と報じた。
「報道内容からして、他の力士に問題は拡大しない流れだとみられる。騒ぎがこれ以上、大きくならなそうだから、処分も引退勧告などまで至らず、最大で6場所の出場停止となる見込みだとされる。引退勧告を出すと、協会から外に出た後にメディアで様々なことをしゃべられるリスクなども考えたのではないか」(前出・相撲担当記者)
問題は、相撲協会としてこの問題の調査を尽くしているかということだろう。相撲協会に、英乃海、紫雷の2人以外の関与について調査したのかを問うたところ、「ノーコメント」(広報部)とするのみだった。本当に、疑惑の全容は解明されることになるのか。