2017年7月、「持続可能な開発目標(SDGs)」のPRのためピコ太郎さんが岸田文雄外相(当時)を表敬訪問(イメージ、Sipa USA/時事通信フォト)

2017年7月、「持続可能な開発目標(SDGs)」のPRのためピコ太郎さんが岸田文雄外相(当時)を表敬訪問(イメージ、Sipa USA/時事通信フォト)

「ゼヒモノ」とは通常、会社が企画に参加しているイベントや、出資している映画の公開日にあわせてニュースとして取り上げるときに使われてきた言葉だ。露出したい時期がきまっていて、それを過ぎたら無理にでも取り上げなければならないものではない。ところが、SDGsについては、○月○日までといった期限が事実上なく、ずっと重要テーマとして取り扱わねばならないのだ。それが「数字が取れない」テーマであるにも関わらずというのが、事態をさらにややこしくさせている。

 番組ディレクターにとって、自身の担当コーナーの数字が下がる、というのは死活問題だ。当然、数字が下がりそうなネタは扱いたくないというのが本音だが、「SDGs」などのトップダウンネタは、数字が取れなくてもやるしかない。そして、対外的な実績にはならないにしても、ゼヒモノを受け持つことで上司の覚えがめでたくなる……そんな思惑もあるのだと悲しげな笑みを浮かべる。

 別の在京民放Y局で営業を担当する森本冬実さん(仮名・30代)にも、「SDGs」に関連するさまざまな企画などの話が持ち込まれているというが、その取り扱いには苦慮している。

「マスコミだけでなく、各社さんが関連の企画をたくさん打ち出しておられますが、それはある程度の予算がつけられているからだと思います。大手企業ほどSDGsには敏感でなければいけないという空気があり、採算度外視でお金を使ってやる。でも、そこまでしても、消費者に影響を及ぼしているかといえば、どうなんでしょうか。ネタの供給量と需要のバランスがおかしく、ちょっと無理やりだなあと思うことは少なくないです」(森本さん)

 在京キー局の子会社社員で、SDGs関連のニュースを数多く手掛けてきたという、人気情報番組の現役ディレクター・小泉敦氏(仮名・30代)が、投げやりに言い放つ。

「SDGs関連を一生懸命やってるのは、大社員様ばかり。少数者、弱者の立場や権利向上をというのなら、俺たち外部スタッフの給与を少しでも上げてくれといいたいね(笑)。大手マスコミも経営状況が悪く、現場から人は切られる一方。若い奴は辞めていくし忙しくなる一方で、社員に言われてSDGsをとりあげるけど、どこが持続可能なんだよって思いますよ」(小泉さん)

 SDGsには17項目の具体的な目標があり、目標1などは「貧困」と名付けられ、「あらゆる場所あらゆる形態の貧困を終わらせる」とある。目標8は「経済成長と雇用」で、「すべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用を促進する」だ。SDGsの意義や重要性と説くならば、目標の一部項目ばかりを取り上げるのではなく、まんべんなく対象にするべきではないのか。

 改めていうが「SDGs」で設定された目標は、世界の未来のためにはとても重要で、尊いものであることは間違いない。ただ、ここで紹介した現状がある以上、その理念が正しく共有されないだけでなく、一部の人たちのエゴとなり、また一部の人たちに目には「偽善」に写り、結局救われるべき少数者、弱者は置いてけぼりにされるのか。

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