東京都議の木下富美子氏の報酬についても問題視された(時事通信フォト)

11月に行った会見では、1時間半にわたり辞職の理由を語った(写真/時事通信フォト)

質の悪いレモンがあちこちに広がる

 米国では、質の悪い中古車のことを“レモン”に例える。中古車販売のように、見ただけでは実際の品質や価値が分からない不良品ばかりが出回ってしまう市場をレモン市場という。よくタレントやアイドルはその人自身が商品だと言われるが、議員も同じく自分自身が商品だ。物議を醸したり逮捕される議員たちは、質が悪いレモンと言える。

 立候補する時は良いことばかり並べ、自己価値を最大限にアピールし頭を下げるが、そこに本質は見えてこない。だから立候補者や議員らと有権者の間には情報格差が生じる。経済学で言う「情報の非対称性」だ。1票を投じた有権者からすれば、レモンを買わされたような騙された気分になるだろう。

 各党が立候補者を選別し選挙活動を応援するのは、この情報格差を無くすためもあると思いたいが、実際は新人、ベテランにかかわらず各々の事情が絡んでいるらしい。「新人はレモンと言えるのか?」と思う人もいるだろうが、立候補者の過去の経験や経歴はさまざま。新人でも質の悪い者は問題を起こすのだ。

 実際にはレモンであるにもかかわらず、各党は選挙で「良質だ」と宣伝し投票を強力に後押しする。しかし、ひとたび問題が起きるとリコールやメンテナンスをすることなく「除名処分」で幕引きを図り、「レモンを見極めるだけの情報収集が難しかった」と言い訳する。政界は、猛烈に勧めて高値で買わせた後は、アフターサービスゼロ、クレームも受け付けないというなんともひどい店舗みたいなのだ。

 質の低い粗悪なレモンが1つ出てくると、次々と同じようなレモンがあちこちで見つかるのが今のネット時代だ。しかし、それが度重なれば、レモンの価値も販売した店の信用もどんどん低下していく。選挙で言えば、どの党を信じればよいのか、どの候補者に任せるべきか分からなくなり、結果、適当に投票したり選挙に行かない人が増えることになる。

 良質なレモンをいかに選び出すかは、各党の情報収集力と人選力がカギになる。品質が良いレモンが数多く並び、誰にしようか期待を込めて迷うほどになれば政治も変わるのに。

関連記事

トピックス

愛子さま
【愛子さま、日赤に就職】想定を大幅に上回る熱心な仕事ぶり ほぼフルタイム出勤で皇室活動と“ダブルワーク”状態
女性セブン
テレビや新聞など、さまざまなメディアが結婚相手・真美子さんに関する特集を行っている
《水原一平ショックを乗り越え》大谷翔平を支える妻・真美子さんのモテすぎ秘話 同級生たちは「寮内の食堂でも熱視線を浴びていた」と証言 人気沸騰にもどかしさも
NEWSポストセブン
行きつけだった渋谷のクラブと若山容疑者
《那須2遺体》「まっすぐ育ってね」岡田准一からエールも「ハジけた客が多い」渋谷のクラブに首筋タトゥーで出没 元子役俳優が報酬欲しさに死体損壊の転落人生
NEWSポストセブン
嵐について「必ず5人で集まって話をします」と語った大野智
【独占激白】嵐・大野智、活動休止後初めて取材に応じた!「今年に入ってから何度も会ってますよ。招集をかけるのは翔くんかな」
女性セブン
不倫騒動や事務所からの独立で世間の話題となった広末涼子(時事通信フォト)
《「子供たちのために…」に批判の声》広末涼子、復帰するも立ちはだかる「壁」 ”完全復活”のために今からでも遅くない「記者会見」を開く必要性
NEWSポストセブン
前号で報じた「カラオケ大会で“おひねり営業”」以外にも…(写真/共同通信社)
中条きよし参院議員「金利60%で知人に1000万円」高利貸し 「出資法違反の疑い」との指摘も
NEWSポストセブン
二宮が大河初出演の可能性。「嵐だけはやめない」とも
【全文公開】二宮和也、『光る君へ』で「大河ドラマ初出演」の内幕 NHKに告げた「嵐だけは辞めない」
女性セブン
昨年ドラフト1位で広島に入団した常広羽也斗(時事通信)
《痛恨の青学卒業失敗》広島ドラ1・常広羽也斗「あと1単位で留年」今後シーズンは“野球専念”も単位修得は「秋以降に」
NEWSポストセブン
品川区で移送される若山容疑者と子役時代のプロフィル写真(HPより)
《那須焼損2遺体》大河ドラマで岡田准一と共演の若山耀人容疑者、純粋な笑顔でお茶の間を虜にした元芸能人が犯罪組織の末端となった背景
NEWSポストセブン
JR新神戸駅に着いた指定暴力団山口組の篠田建市組長(兵庫県神戸市)
【ケーキのろうそくを一息で吹き消した】六代目山口組機関紙が報じた「司忍組長82歳誕生日会」の一部始終
NEWSポストセブン
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
元工藤會幹部の伊藤明雄・受刑者の手記
【元工藤會幹部の獄中手記】「センター試験で9割」「東京外語大入学」の秀才はなぜ凶悪組織の“広報”になったのか
週刊ポスト