国際情報

獄中手記も話題、朴槿恵氏の“恨の矛先”が韓国大統領選のカギを握る

朴槿恵前大統領の獄中手記が波紋を広げている(写真/共同通信社)

朴槿恵前大統領の獄中手記が波紋を広げている(写真/共同通信社)

 3月9日に行なわれる韓国大統領選が終盤戦に入り、大混戦となっている。わずかにリードする保守系最大野党「国民の力」の候補である尹錫悦氏を革新系与党「共に民主党」候補の李在明氏が追いかけているが、開票まで目が離せない展開だ。そんななか、“前大統領の手記”が韓国で発売され、注目を集めている。

「昨年末、現・文在寅政権の恩赦で釈放された朴槿恵前大統領の獄中手記が発売されてベストセラーとなり、朴氏の今後の言動が注目されています」

 そう説明するのは、コリア・レポート編集長の辺真一氏だ。収賄などの罪で服役していた朴氏は恩赦と同時に、獄中で支持者と交わした手紙を『恋しさは誰にでも生まれるものではありません』というタイトルの手記として出版。その内容が波紋を広げているというのだ。

「手記には、大統領選の候補である尹氏に対する恨みつらみと受け取れる心境が綴られています。というのも、朴氏弾劾事件で検察の捜査チーム長として指揮を執っていたのが尹氏です。一方で、尹氏を擁立する『国民の力』は朴氏がトップだった『セヌリ党』の流れを汲む保守系政党。朴氏が今後、尹氏を支持するか否かで選挙の風向きが変わる可能性があるのです」(辺氏)

 時系列を整理すると、尹氏は朴氏の捜査で名をあげて文政権下で検事総長に起用されるも、今度は文氏の側近の疑惑を追及。政権と対立する存在となったために、保守系野党から「反文在寅」の象徴として担がれたというややこしい経緯がある。状況は複雑なのだ。

「逮捕されたとはいえ、朴氏は保守政党の前党首であり保守系の支持層にとってはシンボルです。彼らにとって朴氏は、敵である文政権から政治的な迫害を受けた“ジャンヌ・ダルク”のように捉えられている。

 朴氏は一貫して無実を主張してきました。このまま尹氏を支持すれば自分の事件を認めたことになってしまいます。一方、尹氏を批判すれば自身の支持層が支えてきた政党には逆風となる」(辺氏)

 尹氏にとっても大誤算だったのだろう。

「朴氏は現在入院中ですが、2月には退院すると見られています。文在寅への憎しみと尹氏への憎しみ。どちらが彼女にとって大きいのか見ものです」(辺氏)

 朴氏の決断やいかに。

※週刊ポスト2022年2月11日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

6月6日から公開されている映画『国宝』(インスタグラムより)
【吉沢亮の演技が絶賛】歌舞伎映画『国宝』はなぜ東宝の配給なのか 松竹は「回答する立場にはございません」としつつ、「盛況となりますよう期待しております」と異例の回答
NEWSポストセブン
さいたま市大宮区のマンション内で人骨が見つかった
《さいたま市頭蓋骨殺人》「マンションに警官や鑑識が出入りして…」頭蓋骨7年間保管の齋藤純容疑者の自宅で起きた“ある異変”「遺体を捨てたゴミ捨て場はすごく目立つ場所」
NEWSポストセブン
大谷翔平の投手復帰が待ち望まれている状況だが…
大谷翔平「二刀流復活でもドジャースV逸」の悲劇を防ぐカギは“7月末トレード” 最悪のシナリオは「中途半端な形で二刀流本格復活」
週刊ポスト
フランスが誇る国民的俳優だったジェラール・ドパルデュー被告(EPA=時事)
「おい、俺の大きな日傘に触ってみろ」仏・国民的俳優ジェラール・ドパルデュー被告の“卑猥な言葉、痴漢、強姦…”を女性20人以上が告発《裁判で禁錮1年6か月の判決》
NEWSポストセブン
ホームランを放った後に、“デコルテポーズ”をキメる大谷(写真/AFLO)
《ベンチでおもむろにパシャパシャ》大谷翔平が試合中に使う美容液は1本1万7000円 パフォーマンス向上のために始めた肌ケア…今ではきめ細かい美肌が代名詞に
女性セブン
ブラジルへの公式訪問を終えた佳子さま(時事通信フォト)
《ブラジルでは“暗黙の了解”が通じず…》佳子さまの“ブルーの個性派バッグ3690レアル”をご使用、現地ブランドがSNSで嬉々として連続発信
NEWSポストセブン
告発文に掲載されていたBさんの写真。はだけた胸元には社員証がはっきりと写っていた
「深夜に観光名所で露出…」地方メディアを揺るがす「幹部のわいせつ告発文」騒動、当事者はすでに退職 直撃に明かした“事情”
NEWSポストセブン
異物混入が発覚した来来亭(HP/Xより)
「生肉からの混入はあり得ないとの回答を得た」“ウジ虫混入ラーメン”騒動、来来亭が調査結果を公表…虫の特定には至らず
NEWSポストセブン
左:激太り後の水原被告、右:2月6日、懲役刑を言い渡された時の水原被告(左:AFLO、右:時事通信)
《3度目の正直「ついに収監」》水原一平被告と最愛の妻はすでに別居状態か〈私の夢は彼と小さな結婚式を挙げること〉 ペットとの面会に米連邦刑務局は「ノー!ノー!ノー!」
NEWSポストセブン
“超ミニ丈”のテニスウェア姿を披露した園田選手(本人インスタグラムより)
《けしからん恵体で注目》プロテニス選手・園田彩乃「ほしい物リスト」に並ぶ生々しい高単価商品の数々…初のファンミ価格は強気のお値段
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン