2月7日午後2時過ぎ、日本代表の白いジャージを身にまとった羽生結弦(27)が、五輪会場である首都体育館のサブリンクに姿を現した。練習では4回転サルコーや4回転トウループなどのジャンプを跳んだ後、4回転アクセルに挑んだが、惜しくも両足着氷。フリーの曲『天と地と』をかけた練習でも再びトライしたが、転倒し、成功はならなかった。
羽手が北京入りしたのは、その前日の6日夜。8日には男子フィギュアのショートプログラム(SP)が行われるという、まさに本番直前のタイミングだった。
「新型コロナ感染対策もあって、北京での滞在時間を極力減らしたかったのかもしれません。羽生選手を指導するコーチのブライアン・オーサー氏でさえ、彼の北京入りのタイミングを知らなかったといいます」(現地で取材するスポーツジャーナリスト)
本番直前の現地入りについて、元フィギュアスケーターの渡部絵美さんが話す。
「直前の現地入りそのものは、まったく問題ありません。どのタイミングで現地入りするかは選手それぞれの判断。早めに現地入りして体調を整えたい、現地のリンクでたくさん練習したいという選手もいれば、ギリギリまで自分が慣れ親しんだ場所で練習したいという選手もいるからです」
ニュースなどでは、選手村の部屋や食事が詳細に報道されているが、今回羽生は選手村ではなく、会場となる首都体育館と至近距離にある、高級ホテルに滞在しているという。
「JOC(日本オリンピック委員会)が、とある日系ホテルを貸し切りにしているようです。日本から40人以上の料理人や医療スタッフ、心理療法士を呼び寄せていて、羽生選手を始めとする日本人選手は、このホテルに滞在し、万全の対策をとっているといいます。
ちなみに、ホテル滞在しているのは羽生選手だけではない。決して、彼だけが特別扱いされているわけではありませんよ」 (前出・現地で取材するスポーツジャーナリスト)
また、2月5日には羽生が新たな決断をしたことがわかった。彼の五輪連覇を支えてきたブライアン・オーサー氏が現地での取材に対し、「羽生のリンクサイドに立たない」ことを表明したのだ。
「コロナで練習拠点であるカナダに渡れず、羽生選手はリモートでオーサーコーチの指導を受けてきました。長期にわたって、地元・仙台でずっと1人で練習に取り組んできたとも言えます。本番でも“コーチがいないほうがいつもと同じ状況で演技に集中できる”と判断したのでしょう。彼は自分のリズムや感覚を非常に大事にする選手ですからね」(フィギュアスケート関係者)
気になるのは、五輪3連覇の鍵を握る4回転アクセルの完成度だ。足首の怪我もあって充分に練習できていないと伝えられており、実際に冒頭の練習でも1度も成功していない。
それでも渡部氏はこう期待を寄せる。