病院で満足な治療が受けられないため、インターネットで「効く」という情報のあったイベルメクチンを個人輸入し、服用するワクチン後遺症患者もいる(時事通信フォト)

病院で満足な治療が受けられないため、インターネットで「効く」という情報のあったイベルメクチンを個人輸入し、服用するワクチン後遺症患者もいる(時事通信フォト)

 なぜ症状があるにもかかわらず、検査で「異常なし」と判定されるのか。福田医師が続ける。

「ワクチン接種が引き金となり、さまざまな症状を引き起こす根底には、精神的ストレスや慢性疲労、自律神経やホルモン・栄養や代謝の異常が認められるケースもあります。

 しかしこうした検査異常は、病名診断にもとづく保険診療では発見しにくいため、『異常なし』とされてしまうことが多いのです。また、ワクチン後遺症患者の中には白血病や脳血管疾患などを発症する人もいますが、これらもほとんどの医師は『ワクチンとは因果関係なし』と断定しています。今後、われわれ医師には、カウンセリングや生活改善指導を充足させるなど、検査の結果や病名診断に左右されることのない、患者自身に向き合った医療姿勢が求められることでしょう」

救済措置までの長く苦しい道

 ワクチン後遺症のために仕事に行けなくなったうえ、医療費もかさんで、経済的な苦しみを訴える人も少なくない。実は困窮する人に向けて、国は「予防接種健康被害救済制度」を設けている。審議会でワクチンと健康被害の因果関係が認定された場合、医療手当、障害年金、死亡一時金、遺族年金などの給付を受けることができる。

 厚生労働省の資料によると、新型コロナワクチンについても、今年1月28日までに救済の申請が969件あった。しかし、実際に救済が認められたのは515件で、そのうち99%にあたる510件が、接種後すぐに反応が表れる「アナフィラキシー」あるいは「急性アレルギー反応」となっている。つまり、本誌女性セブンで取材してきた長期的な症状に苦しむ人たちは、まだほとんど救済されていないのだ。

 しかも、救済申請の提出には大きな負担が伴う。昨年5月末、2回目の接種後に両手両足に15cmにもなる大きな紫色の内出血が起こり、血小板が減少していると診断された40代の女性Jさんは、出血すると命にかかわると判断され、緊急入院となった。入院中には吐き気や息苦しさ、発熱にも苦しめられ、3か月で4回も入退院を繰り返した。

 現在も症状が続き、満足に食事も摂れないため、在宅で高カロリー輸液の点滴を受けながら療養を続けている。看護師として働いていたが、仕事を失ったうえに、毎月数万円の医療費がかかるため、家計は楽ではない。そこでJさんは、昨年11月に、救済申請を出すことにした。

「病院の請求書、受診証明書、領収書、ワクチン接種時の予診票や接種済み証に加え、カルテ開示をして診療録を入手し、それらと申請書類一式をそろえて、窓口に提出しました。しかし、市役所から『一部だけでなく、すべての診療録が必要』と言われ、最初にかかったクリニックにも連絡して、診療録を出してもらわねばならなかった。それぞれ約1万円のカルテ開示代もかかりました。

 記入すべき書類がたくさんあるうえに、市役所や保健所、病院とのやり取りもあって大変です。申請して3か月ほど経ちますが、まだ厚労省の審査まで到達できていないようで、保健所からは救済まで1年近くかかるだろうと聞いています」

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