(写真/GettyImages)

ワクチンが卵巣機能に影響を及ぼしている可能性も(写真/GettyImages)

 生活もままならないワクチン後遺症の患者たちが一刻も早い救済を求めているのにもかかわらず、認定まで1年近くもかかるようでは遅すぎると言わざるを得ない。

 多くの医師が接種にかかわっているのに、接種後の症状とワクチンとの関連を認めようとしないことも問題だ。当初から、このワクチンの安全性に疑問を持ち、接種には携わらなかったという大阪の診療所の医師が話す。

「私は普段、外科手術を行っていますが、通常、外科医なら自分が行った手術は最後まで責任を持ちます。ワクチン接種も医療行為なのですから、打った医師が責任を持つべきですよね。ところがこの接種事業は、責任の所在が不明です。特に集団接種会場は流れ作業で、どんな医師が接種するのか、患者にはわからない。

 ワクチン接種は医師にとってかなり実入りのいい“バイト”になっているという現実もあります。1日行けば12万~15万円もの報酬があると聞いています。コロナのために受診控えが起こり、経営が逼迫した開業医の損失補填も兼ねており、ひと月に何百万円ものお金が動いていて、かなりの収入があったクリニックも存在するそうです」

 この医師のもとにも、接種後に生理の血が真っ青になった医療従事者の20代女性の母親が相談に訪れたという。婦人科や内科で精査をしたが「体に異常はない」「見たことがない」と言われ、最終的には「原因はワクチン以外考えられない」と大学病院で医師から告げられた。しかし厚労省に「ワクチンの後遺症でこうなるのでしょうか」と電話をかけたものの、「わからない。別の部署にかけてほしい」と言われ、やはりたらい回しにあったという。

「ほかにも、50代や70代の女性で閉経しているにもかかわらず、不正出血があったという患者さんの話を複数聞いています。70代の女性は『何十年ぶりに生理の感覚がよみがえった』と話しておられましたが、不正出血はワクチンが卵巣機能に影響を及ぼしているとも考えられるので、気がかりです」(大阪の医師)

 医療機関をたらい回しにされ、行き場のない患者に対して、不充分な診察しか提供しないのに、高額な検査・治療費を請求する、いわゆる「ワクチン後遺症ビジネス」を行う自費診療クリニックが跋扈していると、前出の福田医師は警鐘を鳴らす。

「過剰なPCR検査やワクチン接種に費やす莫大な予算の一部でも、増え続ける後遺症患者救済の医療費に充ててほしい。また、各診療科の医師は『心筋炎』や『ギラン・バレー症候群(ウイルス感染やワクチン接種後などに起こる脳神経障害)』などの診断確定や対症療法に固執せず、真摯に疾患背後にある、さまざまな病態の究明と、苦悩し続ける個々の患者救済に向き合うべきです。

 さらに、最も重要なのは、接種した医師や診療を担当する医師が『副反応が出て申し訳ない』『それは後遺症かもしれない』など思いやりのある一言を発する勇気です。それだけでも、多くの後遺症患者は救われます」

 そもそも、国も医療界も、「自分だけでなく、周りのためにも打つように」と言って国民に接種するよう求めた。ワクチン後遺症の患者たちは、社会のためにと思って打ったワクチンで健康被害に遭ったのだ。にもかかわらず、その存在を政府や医療界が認めないどころか、突き放すのはもっての外ではないか。

レポート/ジャーナリスト・鳥集徹と女性セブン取材班

※女性セブン2022年3月3日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
《ママとパパはあなたを支える…》前田健太投手、別々で暮らす元女子アナ妻は夫の地元で地上120メートルの絶景バックに「ラグジュアリーな誕生日会の夜」
NEWSポストセブン
グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
一般家庭の洗濯物を勝手に撮影しSNSにアップする事例が散見されている(画像はイメージです)
干してある下着を勝手に撮影するSNSアカウントに批判殺到…弁護士は「プライバシー権侵害となる可能性」と指摘
NEWSポストセブン
亡くなった米ポルノ女優カイリー・ペイジさん(インスタグラムより)
《米ネトフリ出演女優に薬物死報道》部屋にはフェンタニル、麻薬の器具、複数男性との行為写真…相次ぐ悲報に批判高まる〈地球上で最悪の物質〉〈毎日200人超の米国人が命を落とす〉
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
松竹芸能所属時のよゐこ宣材写真(事務所HPより)
《「よゐこ」の現在》濱口優は独立後『ノンストップ!』レギュラー終了でYouTubeにシフト…事務所残留の有野晋哉は地上波で新番組スタート
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン