1800年に金、エナメル、ダイヤモンドを用いて作られたブレジェの時計。ナポレオンの妻ジョゼフィーヌが使っていたもので、2007年に開催されたオークションで150万スイスフラン(約1億4300万円)で落札された(EPA=時事)

1800年に金、エナメル、ダイヤモンドを用いて作られたブレジェの時計。ナポレオンの妻ジョゼフィーヌが使っていたもので、2007年に開催されたオークションで150万スイスフラン(約1億4300万円)で落札された(EPA=時事)

「まあ本だって大手買取店に出しても希少な本だろうが古ければ10円なんて話もあるみたいですし、私もフランチャイズを検討してほんと悪魔の世界だと思いました」

 もちろん冒頭でも断り書きを入れたように優良業者は存在するだろう。しかし実態はどうだろうとSNSを眺めてみれば「騙された」と罵詈雑言の嵐、現実に悪徳業者やそれに近い業者がはびこっている。売らなければ帰らないとか、恫喝する業者に至っては犯罪である。すみやかに警察だろう。

「でもね、あいつらも必死なんですよ、本部の広告費見ます? これ全部フランチャイズ側が払うんですよ」

 特定されるため詳しくは書けないがとんでもない金額、仕事がら印刷関係も詳しいつもりだが、どうしてカラーチラシを刷るだけでこれだけ掛かるのか。印刷関係の誰が見てもボッタクリ価格である。

「これ、どんだけのお客から、どんだけ買い取ればペイできるんですかね。フランチャイズも食い物にする買取屋、あきれるより怖くなっちゃいました」

 なるほど数打ちゃ当たるで手当り次第に電話してカモを見つけようとやっきになるはずだ。筆者の自宅にもたまにかかってくる。気になるのは某時計専門店で買ったら次の日から増えたこと、そうとうに根深く業界に食い込んでいるのだろう。

「コロナ禍で儲かってるところは儲かってるみたいですけど、必死の業者ばかりですから気をつけたほうがいいですよ、それを周知してもらえればいいです」

 この件、注意喚起したいという時計マニアの彼からの依頼でもある。対策としてはどう思うか。

「チラシばらまいたり電話してくる買取屋なんて相手にしないことです。古くからの買取店で納得して売る、もちろん相場は調べて。みんなスマホで検索くらいはできるでしょう。ネットのオークションサイトも参考になります。とにかく納得しなければ売らなければいい話ですから」

 補足すると生活に困って売る場合は仕方なく見切り売りする場合があるかもしれないし、ネットオークションも相場を無視して高値で売っている場合もあるので売買成立状況を見たほうがいい。ともかく他人のポストにチラシを迷惑なほどに投函したり電話をしつこくかけてくるような買取業者は気をつけたほうがいい、というのは事実で、消費者庁も同様の趣旨で注意喚起をしている。

「あとネットで広告出してる中にも悪徳業者は多いです。リスト通りにはまず買い取らないでしょう。とくにヤバいのが『この買取屋が信用できる!』みたいな記事。しょーもないネット屋とか個人が小遣い稼ぎにやってるだけです」

 酷い話だが「騙されたほうが悪い」は古く質屋の時代から続く「駆け引き」でもある。大昔は田舎をまわって無知だったり金に困った子孫から「蔵整理」と称して先祖代々の古美術を二束三文で買い取る「蔵荒らし」(呼び方はいろいろ)なる行商人もいた。問題になっている貴金属買取業者も現代の「蔵荒らし」だろうか。

「大事なコレクションや遺品ですから、くれぐれも気をつけていただきたいですね。」

 本人はもちろん、高齢の両親が離れて暮らしている場合もまた気をつけて欲しい。コミュニケーションがこうしたトラブルを防ぐ手立てにもなる。

【プロフィール】
日野百草(ひの・ひゃくそう)ジャーナリスト、著述家、俳人。日本ペンクラブ会員。出版社勤務を経てフリーランス。社会問題、生命倫理のルポルタージュを手掛ける。

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