2021年5月19日、木村花さんへの中傷投稿をめぐる訴訟の判決後、娘の花さんがプリントされたシャツを着て記者会見を行った母の響子さん(時事通信フォト)

2021年5月19日、木村花さんへの中傷投稿をめぐる訴訟の判決後、娘の花さんがプリントされたシャツを着て記者会見を行った母の響子さん(時事通信フォト)

ネット上の誹謗中傷は罪に問われる

 インターネット上の書き込みは、侮辱罪や名誉毀損罪、脅迫罪などに問われる可能性がある。侮辱罪は事実を摘示せず公然と人の社会的評価を低下させる行為を処罰するもので、名誉毀損罪は事実の摘示によって公然と人の社会的評価を低下させる行為を処罰するという違いがある。

「公然と」とは、不特定多数が認識できる状態のことで、インターネット上の書き込みも該当する。「事実を摘示」とは、具体的な事実を挙げているかであり、その事実が真実か否かは問わない。つまり「ブス」「キモい」などという場合は侮辱罪、「スーパーで万引をした」「上司と不倫している」などと具体的事実を挙げている場合は名誉毀損罪に当たるのだ。

 なお、前述のような容姿や性格を罵倒するものの他、「犯行グループの一員」「会社をセクハラでクビになったらしい」などの真実ではない評判・社会的信用を落とす書き込み、「あの商品は体に有害な物質でできている」「食材が腐っているので腹痛を起こす」などの販売商品に対する悪質な口コミなどはすべて誹謗中傷となるので、注意してほしい。くどいようだが、●●さんが言っていたから本当だと思った、という言い分けは事実なのかの確認もとれていないし、免罪の理由にはならない。

 また、前述の中学生の例のように、誹謗中傷の加害者が未成年だった場合でも、名誉毀損で訴えることは可能だ。未成年の場合も刑事、民事で訴えることができ、刑事の場合は少年法が適用され、民事の場合は損害賠償請求の責任を負う。名誉毀損罪の場合は、3年以下の懲役もしくは禁錮又は50万円以下の罰金とされる。未成年は支払い能力を持たないが、その場合、親権者が未成年者に代わって賠償責任を負うことになる。つまり、子どもが軽い気持ちで誹謗中傷の書き込みをした結果、保護者が代わって数十万円の損害賠償請求を受ける可能性があるというわけだ。

侮辱罪厳罰化の理由は「抑止力」

 侮辱罪厳罰化の背景には、木村花さんがネットの誹謗中傷によって亡くなったことが大きく影響している。

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