Twitterで誹謗中傷する複数の投稿に「いいね」を押して名誉感情を侵害したとして自民党の杉田水脈衆院議員が訴えられている(時事通信フォト)
ネット上には様々なデマが、多く出回り、広がっている。たとえば、2017年に起きた東名高速あおり運転事故は、これをきっかけにドライブレコーダーの売上が伸びるなど社会的影響が大きかったが、このときもSNSでデマが拡散された。その代表的なデマに、あおり運転をした容疑者の身元を特定したと称するものがあった。関連するデマのうち、「逮捕された容疑者の勤務先」と思わせる書き込みをネット上にしたとして福岡県警に名誉毀損罪で摘発され起訴されたに問われた5人には30万円の罰金刑が科され、うち一人は最高裁まで争ったが2021年9月に罰金30万円が確定している。
このようなデマを投稿した人はもちろん、デマを信じてリツイート、「いいね」しただけで、罪に問われる可能性があるというわけだ。真偽がわからない情報はリツイート、「いいね」などせず、情報元を確認するなどして情報の信頼性を確認したり、真偽がわからないものはシェアなどしないことが大切だ。
情報開示請求もスピーディに
誹謗中傷対策というと手間ばかりかかりかえって疲労困憊させられると言われてきたが、色々と講じられ始めている。たとえば、インターネット上で匿名で誹謗中傷された場合は、その書き込みがされたSNSや掲示板などの運営会社に対して情報開示請求できるが、手続きに対して時間とコストがかかりすぎたため、実際は断念されることが多かった。というのも、SNS運営会社に情報開示請求をして分かるのは、書き込みがされたときの端末の接続情報まで。その接続情報をもとに、書き込みをした者が契約していると思われるプロバイダーや携帯電話会社に、被害者にとっては二度目の情報開示請求をしなければ相手の連絡先までたどり着けなかったからだ。
そこで、2021年4月にはプロバイダー責任制限法を改正。それまで2回必要だった手続きを簡潔化し、1回の手続きで投稿者の電話番号や住所などにたどり着ける情報開示を容易かつスピーディにする、新たな裁判手続きを創設するなどしている。
Yahoo!JAPANでも、Yahoo!ニュースに対してAIが判断した違反コメントが一定数に達すると、その記事のコメント欄全体を非表示とする機能を導入するなど、様々なところで誹謗中傷対策は進んでいる最中だ。
逆に、誹謗中傷被害を受けてしまった場合は、法務省の「インターネット上の誹謗中傷に関する相談窓口のご案内」ページを参考にするといいだろう。悩みや不安を聞いてほしい、書き込みを削除したいなど、希望に合わせた相談窓口がチャートで紹介されているので、諦めずに相談するようにしてほしい。