メッセージをランダムにロシア人に送る
今もウクライナは戦火に包まれている(時事通信フォト)
ある投稿では、ウクライナ側が設置したウェブサイトのリンクが掲載されている。このサイトに行くと、「ロシアに暮らす約1億5000万人はウクライナ戦争の原因や実態を知らない」というメッセージが書かれ、SMSや電子メール、無料通信アプリWhatsAppのメッセージをランダムにロシア人に送信できるボタンが設置されている。直接、ロシア人にアクセスしようする試みだ。
こうしたSNSの投稿などと合わせて、ウクライナがロシアに抵抗を続けるための資金の寄付も募っている。「1億ドルの寄付を達成してプーチンを木星に飛ばしてしまおう」という標語のもと、寄付を募るサイトもウクライナ政府が公開している。仮想通貨で寄付できるクラウドファンディングのサイトも、フョードロフはツイッターで拡散している。
積極的かつ有効的にサイバー空間での戦いを率いるフョードロフとはどんな人物なのか。1991年生まれで、ウクライナ南部の工業都市ザポリージャの大学を卒業、デジタル系のサービスを提供する企業を立ち上げている。2019年に28歳の若さで副首相兼デジタル転換相に就任しているが、もともと、ゼレンスキー大統領が勝利した選挙戦でもSNS関連は彼が仕切っていた。
こうしたIT戦は、実際の戦闘が続く限り、続けられるだろう。サイバー空間なら誰でも無料で手軽にウクライナのために「戦争」に参加できるのである。今回、新たな戦い方を、ウクライナは見せつけている。