「たまたま最前列が取れた」
「もちろん、ちゃんと購入したチケットですよ。今日だけたまたま最前列が取れたんですよ。本当に運良く、ね。ネットで僕のことが話題になっている? 本当? 正当にチケットを取ったんだから、何も問題ないでしょ」
とはいえ、投手が白球を投じるその先に、ド派手なラガーシャツや蛍光色の帽子を被った人物が座っていたら、ピッチングに支障が出ないか心配にもなってしまう。ラガーさん自身が観戦マナーに考えが及ぶことはないのだろうか。
「多少はね。ただ、悪いことしているわけじゃないからね。何度も繰り返すけど、正当に取ったチケットだから。僕自身、この辺の席ならば、どこでもいいんですよ。テレビに映ろうが映るまいが、関係のないことだから」
3日目以降も再び最前列に陣取るのか──。最後に訊ねた。
「チケットの争奪戦は激しいし、大会後半のチケットの発売はこれからでしょ? 準々決勝のチケットは人気だから簡単には取れないだろうね。昔みたいに、通し券じゃないから、チケットを入手できないこともあるかもしれない」
決勝まで観戦を続けるかどうかについては、チケットの4次販売以降の入手状況次第によって「流動的です」と答えたラガーさん。新たな配色のラガーシャツに着替えて第3試合の観戦に備えていた。
■取材・文/柳川悠二(ノンフィクションライター)