これから3月後半に入ると、小学校は春休みを迎え、田舎に暮らす両親の元へ帰省する家庭も多い。自営業のCさん(68歳)は、娘夫婦が帰ってくるため気が気ではない。
「私も妻も3回接種していますが、全然安心していない。いまだに自治体の広報に、先月の死亡者の名前が出ていて、狭い田舎なので『〇〇さんがコロナで亡くなった』という話がすぐに広まります。仕方のないことと分かっていても、自分が感染源になったら、何を言われるか分からない。
春休みなので娘夫婦と孫が遊びに来る予定で、楽しみにしていますが、東京では小学校や保育所で感染が広がっていると聞いているので、娘に『子供には打たせたか?』と聞いたら、『お父さんは、孫が可愛くないの?』と叱られた。だけど、やっぱり心配です」
家族間で複雑な事情を抱える小児接種。夫婦で、あるいは親子で意見が食い違い、対立したときに、どうすればいいのか。
「一番大切なのは、頭ごなしに相手の意見を否定しないこと。『子供のことを考えていない』とか『それは陰謀論だ』などと言って、相手の話を途中で遮ったりせず、とにかく話を最後まで聞く。最初から否定されると、感情的になりがちです。お互いに主張をすべて吐き出して、そのうえで話し合うことが大事です。
そして、打った、打たなかったことで、もし家族が不利益を被ったとしても責任を押し付けないことも約束しておきましょう。専門家ですら判断が一致しない状況です。何か問題が起きたとしても、その決断をした自分や他者を責めたりしないように決めておくことが、その後の家族関係には重要です」(前出・池内氏)
池内氏はもう一点、「子供自身が不安に思っていないか、しっかり相談に乗ること。子供の不安を煽ることだけはしないように」という大前提を述べた。家族間に必要なのは対話である。
※週刊ポスト2022年4月1日号