芸能

タモリ、ウクライナの報道特番「1時間の沈黙」で本当に伝えたかったこと

祖父は南満州鉄道の職員だった

祖父は南満州鉄道の職員だった

「沈黙は金」というが、自身がMCを務める報道番組でこれをやってのけたのは、後にも先にもこの人ぐらいだろう。3月18日、緊迫するウクライナ情勢を受けて報道特番『タモリステーション』(テレビ朝日系)が放送された。MCとして出演したタモリ(76才)は、冒頭でウクライナ情勢に揺れる国境地帯・ポーランドで取材を進める大越健介キャスター(60才)に軽くねぎらいの言葉をかけると、それ以降、番組の後半まで1時間以上の沈黙を貫いた。

 無言のタモリを挟み、専門家が解説を重ねていく。タモリは番組のエンディングで大下容子アナウンサー(51才)からコメントを求められると「一日も早く平和な日々がウクライナに来ることを祈るだけですね」と静かに話すのだった。

 自身の冠番組で、発言時間の合計が1分程度というのは前代未聞だ。放送後、「タモリさんが話さないことで、事態の深刻さが伝わった」「余計な言葉がない分、最後の一言に重みがあった」など、ネットには番組についての感想があふれた。

 連日、テレビ番組ではウクライナ情勢が取り上げられており、多くの著名人が持論を展開している。ロシアのウクライナ軍事侵攻を特集した番組内で「プーチンさんは自分の立場とかわかっているんですかね。あの人、エゴサーチしたらええのに」などと笑いを交えてコメントしたのはダウンタウンの松本人志(58才)だ。

 元大阪府知事の橋下徹氏(52才)は「ウクライナ人は国外へ逃げるべき」「プーチンが死ぬまで待てば再興させられる」など、降伏や妥協を求める旨の発言をして賛否を呼んでいる。

「本来、橋下さんも松本さんもコメント力には定評のあるかたですが、今回の戦争については“的を射ていない”という反応が少なくなかった。個人的意見が許されるほかのニュースとは毛色が違いすぎたのでしょう。それだけ戦争を語ることは難しい」(テレビ局関係者)

 そんななか沈黙という“奇策”に出たタモリだが、彼もかつては、戦争について自分の意見を強く述べていた。

『タモリと戦後ニッポン』の著者である近藤正高さんは、第二次世界大戦を扱った『NHKスペシャル』(2015年)に出演したときのタモリの言葉の選び方が印象に残っているという。

「終戦直後の焼け野原の日本の様子をとらえた映像を見た後、歴史研究家に対し、『終戦って言いますけど、敗戦ですよね?』と問いかけ、一般的な言い方に疑問を呈した。終戦という言葉で悲惨な歴史をぼかしてはいけないという意思を感じました」

 あえて疑問を投げかけ、戦争の悲惨さを強調したのだろう。今回も番組のエンディングでようやく口を開いたタモリは、こう語っていた。

関連キーワード

関連記事

トピックス

タイと国境を接し、特殊詐欺の拠点があるとされるカンボジア北西部ポイペト。カンボジア、ミャンマー、タイ国境地帯に特殊詐欺の拠点が複数、あるとみられている(時事通信フォト)
《カンボジアで拘束》特殊詐欺Gの首謀者「関東連合元メンバー」が実質オーナーを務めていた日本食レストランの実態「詐欺Gのスタッフ向けの弁当販売で経営…」の証言
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんの「冬のホーム」が観光地化の危機
《ベイビーが誕生した大谷翔平・真美子さんの“癒しの場所”が…》ハワイの25億円リゾート別荘が早くも“観光地化”する危機
NEWSポストセブン
まさか自分が特殊詐欺電話に騙されることになるとは(イメージ)
《劇場型の特殊詐欺で深刻な風評被害》実在の団体名を騙り「逮捕を50万円で救済」する手口 団体は「勝手に詐欺に名前を使われて」解散に追い込まれる
NEWSポストセブン
戸郷翔征の不調の原因は?(時事通信フォト)
巨人・戸郷翔征がまさかの二軍落ち、大乱調の原因はどこにあるのか?「大瀬良式カットボール習得」「投球テンポの変化」の影響を指摘する声も
週刊ポスト
公然わいせつで摘発された大阪のストリップ「東洋ショー劇場」が営業再開(右・Instagramより)
《大阪万博・浄化作戦の裏で…》摘発されたストリップ「天満東洋ショー劇場」が“はいてないように見えるパンツ”で対策 地元は「ストリップは芸術。『劇場を守る会』結成」
NEWSポストセブン
なんだかんだ言って「透明感」がある女優たち
沢尻エリカ、安達祐実、鈴木保奈美、そして広末涼子…いろいろなことがあっても、なんだかんだ言って「透明感」がある女優たち
女性セブン
同僚に薬物を持ったとして元琉球放送アナウンサーの大坪彩織被告が逮捕された(時事通信フォト/HPより(現在は削除済み)
同僚アナに薬を盛った沖縄の大坪彩織元アナ(24)の“執念深い犯行” 地元メディア関係者が「“ちむひじるぅ(冷たい)”なん じゃないか」と呟いたワケ《傷害罪で起訴》
NEWSポストセブン
過去の大谷翔平のバッティングデータを分析(時事通信フォト)
《ホームランは出ているけど…》大谷翔平のバッティングデータから浮かび上がる不安要素 「打球速度の減速」は“長尺バット”の影響か
週刊ポスト
電動キックボードの違反を取り締まる警察官(時事通信フォト)
《電動キックボード普及でルール違反が横行》都内の路線バス運転手が”加害者となる恐怖”を告白「渋滞をすり抜け、”バスに当て逃げ”なんて日常的に起きている」
NEWSポストセブン
16日の早朝に処分保留で釈放された広末涼子
《逮捕に感謝の声も出る》広末涼子は看護師に“蹴り”などの暴力 いま医療現場で増えている「ペイハラ」の深刻実態「酒飲んで大暴れ」「治療費踏み倒し」も
NEWSポストセブン
中村七之助の熱愛が発覚
《結婚願望ナシの中村七之助がゴールイン》ナンバーワン元芸妓との入籍を決断した背景に“実母の終活”
NEWSポストセブン
松永拓也さん、真菜さん、莉子ちゃん。家族3人が笑顔で過ごしていた日々は戻らない。
【七回忌インタビュー】池袋暴走事故遺族・松永拓也さん。「3人で住んでいた部屋を改装し一歩ずつ」事故から6年経った現在地
NEWSポストセブン