街歩きをしながら、15年間にわたり配管の写真を撮り続ける屋良信幸さん。3000枚撮りためた配管の魅力について話を聞いた。
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もともと気になったものをカメラに収める街歩きが好きでした。そんなある日、出会ったのが渋谷の宮益坂付近で見かけた配管。機能を満たせば事足りる配管が、美しく工夫されて設置されている様に目を奪われました。それから私の街歩きは、配管を見ることのできる路地裏が中心になりました。
派生して撮りためているのが住宅地にあるガスメーター。ある程度規則的な設計がなされる配管と違い、「なぜこんな配置に?」と首を傾げてしまう不思議な形態に惹きつけられます。
15年間で3000枚くらい撮影してきました。路地裏だったり、ビルの隙間だったり、見えにくい場所にあるので撮影に苦労することが多いです。しかし、近年、ビルの合間に歯抜けのようにコインパーキングや更地が増えました。撮影しやすくなってきた反面、日本経済は大丈夫なのかと言い知れぬ不安に襲われることもあります。
【プロフィール】
屋良信幸(やら・のぶゆき)/1980年生まれ、大分県出身。会社員の傍ら、配管を追い求める日々を過ごす。著書に『都市空間における管路の形態』がある。
※週刊ポスト2022年4月1日号