ビジネス

アパホテル元谷芙美子社長が語る「コロナ禍で10億円黒字達成」の経営手法

熱弁をふるったアパホテルの元谷芙美子社長

熱弁をふるったアパホテルの元谷芙美子社長

「GWは全国どこのホテルも予約でいっぱいやわ。嬉しいわ~」と、満面の笑みで語るのはアパホテルの元谷芙美子社長。ビジネスホテル最大手のアパもコロナ禍で新規戦略を次々と打ち出した。2020年には、約2か月の期間限定で「1泊2500円」という破格プランを提供した。

 最大手の一角であるアパも、2020年11月期の経常利益は前期比97%減という大打撃を被った。それでも約10億円の黒字という業績をあげたのは、創業者である元谷夫妻が続けてきた独自の経営手法によるものかもしれない。その一端は、コロナ感染者のホテル療養のため、進んで施設を貸し出した話にも表われている。

 夫で会長の外志雄氏のもとに、政府から宿泊療養受け入れ依頼が来たのは2020年4月2日だった。

「私は自宅で横にいましたが、即断即決しました。業界をリードする者の矜持というか、『協力させてほしい』、と。それからは数万室もある予約済みのお客さまに他所にお移りいただく手続きをし、受け入れ施設周辺の住民の方々の不安解消のために私やホテル支配人、建築士まで表に出て説明したりと、やることが山積みでした」(元谷氏)

 当初はワクチンもない頃で「未知の感染症」のイメージが強く、周辺住民などからの反対の声や風評被害は大きかったという。しかし、最終的にはその決断が、経営的にもプラスになったと元谷氏は言う。

「オープン前の新築ホテルを貸し出したことで、療養者の皆さんに喜んでいただけた。特にこれまで泊まったことがない20代の若い方が宿泊療養をきっかけに新たにリピーターになってくれました。この間、新規会員は20万人増えたんです」

 客数が増えただけではない。コロナ禍を奇貨とし、非接触型の「1秒チェックイン機」の全館導入、自社予約サイト・アプリ「アパ直」のサービス拡充など、運営面の効率化が進んだ。

 今年だけで東京や大阪、新潟などを中心に計17棟のホテルの開業が予定され、来年以降も新規開業が続く見込みだ。これらはコロナ前からの計画通りだという。

「『どうしよう』と言っていたら座して死を待つだけ。手を打ち、明るい方針で頑張らないと。こういう時こそ社長としての器が試されるので、どんどん攻めていかなければと思います」(元谷氏)

 すでに15道県で実施されていた都道府県版Go Toトラベル「県民割」は「地域ブロック割」に対象が拡大された。大型連休を前に全国で本格実施となれば、予約が取れない日はすぐそこに来ているのかもしれない。

※週刊ポスト2022年4月22日号

関連記事

トピックス

サークル活動に精を出す悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
《普通の大学生として過ごす等身大の姿》悠仁さまが筑波大キャンパス生活で選んだ“人気ブランドのシューズ”ロゴ入りでも気にせず着用
週刊ポスト
「参政党パワー」の正体とは(神谷宗幣・代表)
叩かれるほどに支持が伸びる「参政党パワー」 スピリチュアリズム勃興の中で「自分たちは虐げられていると不安を感じる人たちの受け皿に」との指摘
週刊ポスト
レッドカーペットに登壇した大谷夫妻(時事通信フォト)
《産後“ファッション迷子期”を見事クリア》大谷翔平・真美子さん夫妻のレッドカーペットスタイルを専門家激賞「横顔も後ろ姿も流れるように美しいシルエット」【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
女優・遠野なぎこが自宅マンションで亡くなっていることがわかった
遠野なぎこさん死去…「絶縁状態」と言われていた親族が訃報発表に踏み切った事情 知人が明かす「ずっと気にかけていた」本当の関係
NEWSポストセブン
なぜ蓮舫氏は東京から再出馬しなかったのか
蓮舫氏の参院選「比例」出馬の背景に“女の戦い”か 東京選挙区・立民の塩村文夏氏は「お世話になっている。蓮舫さんに返ってきてほしい」
NEWSポストセブン
泉房穂氏(左)が「潜水艦作戦」をするのは立花孝志候補を避けるため?
参院選・泉房穂氏が異例の「潜水艦作戦」 NHK党・立花孝志氏の批判かわす狙い? 陣営スタッフは「違います」と回答「予定は事務所も完全に把握していない」
NEWSポストセブン
フリー転身を発表した遠野なぎこ(本人instagramより)
《訃報》「生きづらさ感じる人に寄り添う」遠野なぎこさんが逝去、フリー転向で語っていた“病のリアルを伝えたい”真摯な思い
NEWSポストセブン
レッドカーペットに登壇した大谷夫妻(時事通信フォト)
《真美子さんの艶やかな黒髪》レッドカーペット直前にヘアサロンで見せていた「モデルとしての表情」鏡を真剣に見つめて…【大谷翔平と手を繋いで登壇】
NEWSポストセブン
誕生日を迎えた大谷翔平と子連れ観戦する真美子夫人(写真左/AFLO、写真右/時事通信フォト)
《家族の応援が何よりのプレゼント》大谷翔平のバースデー登板を真美子夫人が子連れ観戦、試合後は即帰宅せず球場で家族水入らずの時間を満喫
女性セブン
鉄板焼きデートが目撃されたKing & Princeの永瀬廉、浜辺美波
《永瀬廉と全身黒のリンクコーデデート》浜辺美波、プライベートで見せていた“ダル着私服のギャップ”「2万7500円のジャージ風ジャケット、足元はリカバリーサンダル」
NEWSポストセブン
鉄板焼きデートが目撃されたKing & Princeの永瀬廉、浜辺美波
《タクシーで自宅マンションへ》永瀬廉と浜辺美波“ノーマスク”で見えた信頼感「追いかけたい」「知性を感じたい」…合致する恋愛観
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 石破政権が全国自治体にバラ撒いた2000億円ほか
「週刊ポスト」本日発売! 石破政権が全国自治体にバラ撒いた2000億円ほか
NEWSポストセブン