芸能

旧作映画のデジタル・リマスター「今のテレビが表現する情報量に合わせる」

なぜデジタル・リマスターをする必要があるのか

なぜデジタル・リマスターをする必要があるのか

 長らく映画はフィルムで撮られてきた。その場合、撮影したネガを現像して上映用のプリントにし、それで初めて映像として目にすることができる。近年、そうしたフィルム=アナログ方式で撮られた旧作を映画館での再上映やソフト化する際には、一度デジタルデータに変換する「リマスター」作業が行なわれている。なぜデジタル・リマスターをする必要があるのか――。長年にわたり現像やデジタル化を担ってきた東映ラボ・テックのベテラン技師、根岸誠氏に、映画史・時代劇研究家の春日太一氏がその事情を聞いた。

 * * *
根岸:古い作品はフィルムで撮影されているので、本当は今でもフィルムのまま上映してもらうのが一番良いんです。

 しかし、もう残念ながら、今はフィルムで観られる劇場が数えるほどしかないので、観てもらうためにはどうしてもデジタル上映をする必要があります。そのためにフィルムのネガからデジタル化をするわけです。

 映画館の事情だけではありません。昔は、フィルムで撮った作品をビデオやDVDとしてテレビでかける場合は「テレシネ」といって、テレビ用のビデオデータに変換していました。しかし、テレビも以前よりはるかに綺麗に色が出るようになりましたので、テレシネよりももっと高精細なデジタルデータで観てもらう必要も出てきたんです。

 そうした事情から「デジタル・リマスター」という言葉が言われ始めたんじゃないかなと思います。

「リマスター」という言葉には「従来のテレシネとは違う」ということと、それだけでなく「元々のフィルムの質感は残そう」ということ、二つの意味合いが込められています。

 テレシネの場合は「テレビできれいに観られればそれでいい」という考え方がありました。以前のテレビは色が表現できる幅がとても少なかった。今のテレビは色が表現できる幅がすごく広くなっているので、その分だけ――フィルム自体がそういう情報量をもともと持っているので――そこに合うように改めて再現してあげる必要が出てきたわけです。

関連記事

トピックス

「決意のSNS投稿」をした滝川クリステル(時事通信フォト)
滝川クリステル「決意のSNS投稿」に見る“ファーストレディ”への準備 小泉進次郎氏の「誹謗中傷について規制を強化する考え」を後押しする覚悟か
週刊ポスト
悠仁さまの「加冠の儀」に出席された雅子さま(時事通信フォト)
《輝きを放つシルク》雅子さま、私的な夕食会で披露した“全身ゴールド” ファッション専門家「秋を表現された素晴らしい一着」
NEWSポストセブン
アニメではカバオくんなど複数のキャラクターの声を担当する山寺宏一(写真提供/NHK)
【『あんぱん』最終回へ】「声優生活40年のご褒美」山寺宏一が“やなせ先生の恩師役”を演じて感じた、ジャムおじさんとして「新しい顔だよ」と言える喜び
週刊ポスト
林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
《部屋はエアコンなしで扇風機が5台》「仏壇のろうそくに火をつけようとして燃え広がった」林家ぺー&パー子夫妻が火災が起きた自宅で“質素な暮らし”
NEWSポストセブン
クイズ企画が人気を集めている『新しいカギ』の特番が放送される(公式HPより)
《1コーナーから2時間特番に》『新しいカギ』「高校生クイズ何問目?」が高校生から高い支持 「純粋にクイズを楽しめる」「負けても納得感」で『高校生クイズ』との違いも 
NEWSポストセブン
1年ほど前に、会社役員を務める元夫と離婚していたことを明かした
《ロックシンガー・相川七瀬 年上夫との離婚明かす》個人事務所役員の年上夫との別居生活1年「家族でいるために」昨夏に自ら離婚届を提出
NEWSポストセブン
林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
「パー子さんがいきなりドアをドンドンと…」“命からがら逃げてきた”林家ペー&パー子夫妻の隣人が明かす“緊迫の火災現場”「パー子さんはペーさんと救急車で運ばれた」
NEWSポストセブン
“高市潰し”を狙っているように思える動きも(時事通信フォト)
《前代未聞の自民党総裁選》公明党や野党も“露骨な介入”「高市早苗総裁では連立は組めない」と“拒否権”をちらつかせる異例の事態に
週刊ポスト
韓国アイドルグループ・aespaのメンバー、WINTERのボディーガードが話題に(時事通信フォト)
《NYファッションショーが騒然》aespa・ウィンターの後ろにピッタリ…ボディーガードと誤解された“ハリウッド俳優風のオトコ”の「正体」
NEWSポストセブン
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《佳子さまどアップ動画が話題》「『まぶしい』とか『神々しい』という印象」撮影者が振り返る “お声がけの衝撃”「手を伸ばせば届く距離」
NEWSポストセブン
交際が報じられた赤西仁と広瀬アリス
《赤西仁と広瀬アリスの海外デートを目撃》黒木メイサと5年間暮らした「ハワイ」で過ごす2人の“本気度”
NEWSポストセブン
秋場所
「こんなことは初めてです…」秋場所の西花道に「溜席の着物美人」が登場! 薄手の着物になった理由は厳しい暑さと本人が明かす「汗が止まりませんでした」
NEWSポストセブン