アメリカで生まれた陰謀論が、日本で過激な反ワクチン集団と化し、ついに警察沙汰に。いったい何が起きているのか。近刊『「トランプ信者」潜入一年』が話題を呼ぶジャーナリスト・横田増生氏がその実態に迫った。(文中敬称略)【前後編の前編】
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私が神真都(やまと)Qを認識したのは4月上旬のこと。そのメンバーが、ワクチン接種が行なわれていた都内のクリニックに接種反対を掲げて押し入り、建造物侵入の現行犯で逮捕されたという新聞記事を読んだ時だ。
神真都Qは、新型コロナウイルスは存在せず、ワクチンには毒性があり、日本の人口を削減するために悪用されている、と主張する。
現行犯逮捕の模様について、全国紙の社会部の記者はこう話す。
「当日は、ワクチン接種会場となった病院に10人のメンバーが押しかけ、『治験が終わっていないワクチンを子供に接種するのは犯罪だ』、『ワクチンの成分を開示せよ』、『院長と話をさせろ』などと騒ぎたて、ワクチン反対のビラも病院内でまきました。それが午前9時すぎのこと。
その後、警察が駆け付けたのが10時頃。それでも神真都Qのメンバーは病院から出て行かず、押し問答になり11時前後に4人が現行犯で逮捕されました。その後に、神真都Qの本部や首謀者の自宅に家宅捜索が入り、関係書類やパソコン、スマホなどが押収されています」
神真都Qの連帯を呼びかける投稿がネット上で出回り始めたのが昨年の秋頃で、それが今年に入り東京や静岡、大阪や福岡などで反ワクチンを掲げてデモを行なうようになり世間の注目を集めた。
神真都Qは逮捕される以前から、東京ドームや早稲田近辺のワクチン接種会場などでも同様の騒ぎを起こし、予防接種が一時中断に追い込まれる事態となっており、その頃から警視庁公安部がマークしていた。今回の逮捕は、公安部でもカルトや新興宗教団体を扱う公安総務課が指揮を執った。1990年代にオウム真理教の事件を捜査したのも、この公安総務課だった。
事件後も神真都Qにとどまるメンバーの1人 はこう話す。
「コロナのワクチンを接種した直後に1600人以上が亡くなっている。厚労省はワクチンと死亡に因果関係がないと主張しているが、それはウソだ。コロナウイルスが存在するのかも証明されていないのに、そのワクチンを打って人が死ぬなんて本末転倒もいいところだ。病院での逮捕は不当逮捕で、断固として反対する。相手が公安部であっても、警察自体が『ディープ・ステイト(闇の勢力を指す)』の一員なので怖くはない」