「今はまだタイトル戦に登場するなどの目立った活躍はないですが、コンスタントに勝ち続けることができる棋士です。いずれと言わず、今回の王座戦でもこのまま勝ち進んで永瀬(拓矢)王座(29)への挑戦が決まってもおかしくないし、もっと言えばタイトル奪取をしても驚かないくらいの実力の持ち主です。
順位戦ではB級2組に所属していますが、もっと上のクラスでも十分通用する実力がある。これからB級1組、A級へと上がってくるでしょう」
将棋関係者の中には、「大橋」という姓にロマンを感じ、「いずれ名人になるのでは」と楽しみにしている人もいるという。
「『大橋』と『伊藤』という姓は将棋界においては特別なんです。この2つは江戸時代の将棋専業の家の姓です。今も将棋の駒の並べ方には『大橋流』と『伊藤流』があり、ほとんどのプロ棋士は大橋流を採用しています。
現代のような選手権制ではなく終身名人制だった江戸時代は、初代名人である大橋宗桂を含め、全部で6人の『大橋名人』が誕生しました。大橋六段はこの家元の末裔というわけではありませんが、同じ『大橋』姓なので、もしかしたら数百年ぶりに『大橋名人誕生なるか』、と期待をしてしまいます。
『大橋さんという強い棋士が出てきた』ということに、私のような将棋関係者は密かにロマンを感じています。大橋六段の実力なら、いずれ渡辺明現名人(大橋六段にとっては同門の兄弟子)や藤井聡太現竜王らと名人位を争って、名人になることも不可能ではない。今後の活躍が楽しみです」(松本氏)